カメラを使っていると必ず耳にするのが「ISO感度」という単語です。
例えば、「手ブレする時はISO感度を上げる」や「ISO感度を上げるとノイズが目立つ」などとよく言われますが、カメラを始めて間もない頃はこれがどう意味かイマイチ分かり難いかと思います。
私もISO感度についてよく理解していませんでした。
しかし、ISO感度はとても重要な事柄です。そして、これについて基本を理解するとその後の撮影に役に立つこと間違い無しです。
ということで、今回はISO感度の読み方、目安、メリット・デメリット、などなど総合的に書いてみたいと思います。
これでISO感度を上手に使いこなせるはずです!
目次
そもそも「ISO感度」とは?
ざっくり言うと「ISO感度」とは「デジタルカメラが光をとらえる能力を表す値」みたいなものです。
デジタルカメラはレンズから取り入れた光を「撮像素子(センサー)」という場所で電気信号に変換し処理することで画像データとして記録します。
これが撮像素子(センサー)です。
人間の眼でいう網膜みたいなものです。取り入れた光をここに当てて電気信号に変換します。
そして、光を電気信号に変換する際に、「どれだけ電気信号を増幅させるのか」ということを数値で表したのが「ISO感度」となります。
例えば、ISO感度をISO100からISO200と数値を2倍にすると、電気信号も2倍に増幅されます。つまり、光をとらえる能力が2倍になるということです。
ISO感度の数値を上げれば、光を捉える能力もパワーアップされるということですね。
なんとなくISO感度についてお分かり頂けたでしょうか!?
ISO感度の読み方は!?
「ISO」の読み方は正式には決まっていないよです。
ただ、日本ではISOを「イソ」と読むことが多いです。日本人写真家やカメラ店店員も大体「イソ」と読んでいます。
海外では「アイソゥ」と読むことが多いようです。Youtubeで海外写真家の動画を見ると「アイソゥ」と発音しています。
ちなみに、私はISOを「アイエスオー」と読んでいます。
ということで、好きに読んでくださいませ。
では、具体的にISO感度はどのような場面で使われるのでしょうか!?
ISO感度を使う場面
主にISO感度は、2つの場面で使われることが多いです。
それは、
- 手ブレを防止
- 被写体のブレを防止
この2つです(カメラを使い慣れてくれば写真を明るくするだとかもありますが、まずはこの2つが基本です)。
ISO感度の数値を上げれば光を捉える能力もパワーアップされるので、その分「シャッター速度」を上げることができます。
シャッター速度が上がれば手ブレ防止になるし、動きの速いものも止めて撮影することができます。
例えばこの写真です。
ISO感度はISO100で撮影しています。
F値はこのレンズ最小のF2.8に開放していますが、シャッター速度が1/6秒で遅いために被写体がぶれています(ちなみに、F値は小さい方がシャッター速度が上がりますが、この時は一番小さなF2.8にしてもシャッター速度が遅いです)。
この場合、被写体の動きを止めて撮影するにはISO感度を上げます。
ISO感度をISO12800まで上げました。
そうすると同じF2.8でも、シャッター速度が1/800秒に速まり、被写体の動きが止まってくれます。すごい。
同様に手ブレの原因もシャッター速度が遅いことにあるので、手ブレしてしまう時はISO感度を上げます。
室内とか薄暗い場所だとよく手ブレしてしまいますね。ISO感度を上げましょう。
ちなみに、ISO感度を2倍にすれば、シャッター速度も2倍に速まります。
例えば、ISO100でシャッター速度が1/50秒の時、ISO200と2倍にすればシャッター速度も2倍の1/100秒に速まります。さらに、ISO400と2倍にすればシャッター速度も2倍の1/200秒に速まります。
「ISO感度を2倍にすれば、シャッター速度も2倍に速めることができる」、これを覚えると便利ですね。
ということで、ISO感度はとても有用なものです。じゃ、「ISO感度をいつも上げておけば良いじゃん」と思うかもしれませんが、ISO感度にはデメリットもあります。
それが「ノイズ」とか「高感度ノイズ」と言われるものです。
ISO感度のメリット・デメリット
先ほどの写真を並べてみます。
1枚目がISO100で2枚目がISO12800ですね。被写体のブレ以外に何が違うのかお分かりでしょうか!?
この写真では少し分かり難いので、ISO感度を変えて撮影した同じような写真で比べてみます。
上がISO100で、下がISO12800です。
さらに分かり易いよう拡大します。
上がISO100で、下がISO12800です。
明らかに下のISO12800で撮影した画像の方がザラザラしています。
これがいわゆる、「ノイズ」とか「高感度ノイズ」と呼ばれるものです。これはISO感度を高くしたことで、電気信号が大きく増幅されるようになり、不要なノイズまでも大きく増幅されてしまうことが原因です。
ISO感度を上げるとシャッター速度が速まるというメリットがありますが、ノイズが増え画質が悪くなるというデメリットもあるのです。
一応、最初の写真も拡大して比べてみます。上がISO100で、下がISO12800です。
ちゃんとノイズが増えて画質が悪くなっています。ISO12800の写真は全体的にザラザラとしていますね。
ということで、ISO感度を上げる時はノイズが出るというデメリットをきちんと理解する必要があります。
では、どれくらいを目安としてISO感度を上げれば良いのでしょうか!?
ISO感度の目安
上記したようにISO感度は上げればノイズが出るので基準値に設定しておいた方が良いです。
基準値とは最も画質の良くなるISO感度です。一眼レフカメラだと殆どISO100です。ミラーレスとかだとISO200が基準値というものもあります。ご自分のカメラで調べてみてください。
手ブレや被写体ブレの心配がないならISO100(基準感度)で撮影です。しかし、手ブレしそうな場合にはISO感度を上げます。
目安としては、
- 日中の屋外で曇りや影になっていて薄暗い場面だとISO200〜400くらい
- 日中の明るい室内で撮影している時だとISO400〜1600くらい
- 太陽の出ていない時間帯の屋外や、照明下の室内だとISO1600〜6400くらい
となります。
ただし、 これはあくまでも目安なのでその時々の状況によってISO感度を調整してみてください。手ブレするくらいなら、がっつりISO感度を上げると良いと思います。ノイズの多い写真でも手ブレするよりはマシです。
また、被写体ブレを抑える時には高速シャッターを切りますが、シャッター速度1/500秒以上を基準としてみると良いです。
参考:被写体の動きを止めるシャッター速度とその上手な方法。一眼レフカメラの基本知識。
「ISO感度を2倍にすれば、シャッター速度も2倍に速めることができる」ので、ISO100でSS1/250秒の時はISO200で撮影してみれば良いことになります。
また、被写体の動きが速い時は様子をみて更にISO感度を上げシャッター速度をはやめます・・・。
以上がISO感度の目安となります。
ちなみに、使用する写真のサイズによってもノイズの見え方は違います。小さい写真なら高感度でもノイズは目立ちませんが、大きくして見ると目立ちます。それらの点を踏まえて、「ノイズに関して自分が許容できるISO感度の範囲」を確認しておくことも大切だと思います。
それで、どのようにISO感度を変えるか・・・。
ISO感はマニュアルかオートか!?
私はマニュアルで変えていますが、これだと気づかない内にシャッター速度が下がって手ブレしたりすることもあります。
また、動物や子供などの動きものの撮影ではISO感度を設定している間にシャッターチャンスを逃すということもあります。
なので、最初のうちはISO感度はAUTO(自動設定)モードで良いと思います。これで殆ど問題ありません。
また、カメラによっては「ISO感度自動制御」という便利な機能もあります。これなら不用意にISO感度を上げることなく撮影することが可能です。
参考:ISO感度自動制御で手ブレを防止!シャッターチャンスを逃さないカメラの基本設定。
「AUTOモード」や「ISO感度自動制御」なら難しいことを考えなくて済みます。カメラに慣れてきたら「マニュアル」で自分が思う最適なISO感度に設定してみると良いです:)
ちなみに、以下は余談ですが同じISO感度でも撮像素子(センサー)の大きさによってノイズ耐性が違います。
撮像素子(センサー)の大きさとノイズ耐性
ご存知の方も多いかと思いますが、カメラはその種類や機種によって使われている撮像素子(センサー)の大きさが違います(下はセンサーサイズの比較です)。
NikonでいうとD750、D810など十数万〜数十万円する高価なものには、「35㎜フルサイズ」の撮像素子(センサー)が使われています(フルサイズ機と呼ばれます)。
また、D7200、D5500、D3300などには「APS-C」の撮像素子(センサー)が使われています(APS-C機と呼ばれます)。はじめて一眼レフカメラを買う方は大体APS-C機だと思います。
マイクロフォーサーズはよくミラーレスカメラに使われていたりますます。1/2.3型は安めのコンデジに使われています。
そして、撮像素子(センサー)が大きい方がISO感度を高くしてもノイズが出にくいです。
なので、基本的にはAPS-C機よりもフルサイズ機の方がノイズ耐性があり画質が綺麗です。また、マイクロフォーサーズのカメラよりもAPS-C機のカメラの方がノイズ耐性があり画質が綺麗です。
スマホのカメラとかも暗いところで撮影するとザラザラとして画質が大きく落ちますね。これもセンサーが小さいからです。
わざわざ大きくて高価なカメラを使う理由は、このノイズ耐性が一つの訳となっているのです。
まとめ
ISO感度は初めは分かりにくいですが、一度基本を理解すれば後は簡単です。
自分のカメラのISO感度許容範囲を把握して、手ブレしそうな時にはISO感度を高くしましょう。
「ISO」(ASA感度)この言葉を知ったのは、小学校5年の見学旅行のとき
オヤジにフィルムの入れ方、巻き戻し方、絞り、SSなど教えられました。
晴れの日には、ASA100のフィルムを買って入れる。
小学生に理解できるわけ有りません・・・・・・おかげでその後
サッパリです。
今では、「ISO」というと、ISO規格のネジやIS09001などの
マネジメントの話になってしまいます。
フィルム感度(撮像素子)を表すのに、デジタルの時代には別な
数値を定めても良かったように思います。
(職人の世界では未だに尺貫法ですけどね)
mickeyさん
コメントありがとうございます。
随分と前からISO感度を知っていたのですね。フィルムカメラも面白そうです。ただフィルムカメラの沼は底が見えなさそうです笑
確かにデジタルカメラにもフィルム時代の名残が多数ありますね、35㎜フルサイズとかも・・・。新しい規格を決めるのが大変だったのでしょうかね:)