早速、Sigma(シグマ)14㎜F1.8Artのレビューを自分なりにしてみたいと思います。
本当は半年とか一年くらいじっくり使ってからレビューしたいところですが、購入を考えている方も多いかと思うので早々に。
私はNikon(ニコン)14-24㎜F2.8Gも使っているので、これと比較しながらSigma(シグマ)14㎜F1.8Artがどんなレンズなのか探っていきたいと思います(以下、Nikon14-24㎜F2.8Gは「ニコン」、シグマ14㎜F1.8Artは「シグマ」と略します)。
SIGMA 単焦点超広角レンズ Art 14mm F1.8 DG HSM ニコン用 フルサイズ対応
目次
Sigma(シグマ)14㎜F1.8Artをレビュー
いきなりですが、以下に要点を箇所書きしておきます。
・星の写りについては開放F1.8や開放付近ではコマ収差は出るが、F2.8くらいまで絞ればニコン開放F2.8と大体同レベルになる。ただ、コマ収差が出るとは言っても、個人的には開放F1.8でも許容範囲だし、画質面で結構違いが出るので積極的にシグマを使おうと思える。
・周辺減光はよく抑えられている。シグマF2とニコン開放F2.8で同レベルの周辺減光具合。F2.8同士ならシグマの方が周辺減光は少ない。
・歪みについては圧倒的にシグマの方が歪まない。ニコンは大きく樽型に歪むが、シグマはわずかに樽型に歪む程度。
・シグマの逆光耐性は良好。ゴーストは出来るものの良く抑えられており扱いやすい。光条は比較的美しいと思う。
・解像力に関しては、シグマは開放F1.8であっても良く解像する。ただし、周辺部においてはニコンの方が良い。周辺部はニコン開放F2.8とシグマF4で大体同レベルなる。これは改めてニコンの優秀さが分かる。
・重さと大きさはニコンよりシグマの方が重いが、シグマの方がバランス良く重さを感じにくい。あと、金属製!?でニコンより質感は良い。
ということですが、では詳しく画像を交えながら確認していきたいと思います。
星の写りついて
Sigma(シグマ)14㎜F1.8Artは星撮り専用とも言えるようなレンズ。
そこで一番気になるのが画面四隅で星に収差が出るのか、出ないのかという点だと思います。
星の収差と言っても色々な種類がありますが、まずはコマ収差について見てみます。ちなみに、コマ収差とは下のようなやつです(これは別なレンズの写真)。
星が十字架のような形に変形します。
では、シグマ14㎜で撮影したこの写真の左上隅を等倍近くにまで拡大し見てみます。
設定についてはシャッター速度を20秒に固定し、F1.8、F2.0、F2.2、F2.5、F2.8と絞値を変えて撮影しました(F値に応じてISO感度も変えています、画像は撮って出し)。
では、一気に見てみます。
という感じです。
やはり、開放F1.8では星がコマ収差の影響で縦に変形していますね(SS20秒なので日周運動で横方向にも伸びている)。
これがコマ収差。星の上下に羽根が生えたかのようになっています。
ただ、大体F2.5くらいからコマ収差は目立たなくなり、F2.8ではおおよそコマ収差は抑えられているようです(明るい星は怪しいですが)。
F1.8とF2.8を比較するとこんな感じ。
ちなみに、星の「流れ(非点収差)」については開放からそんなに目立たないと思います。たぶん。あと、「青ハロ(星の周りの青い色ズレ)」は明るい星に見受けられますが、これもそんなに気にならないです。
では、ニコン開放F2.8とシグマF2.8を比べてみたいと思います(ニコンは別日に撮影した写真ですが画面の同じ場所を拡大しています)。
上画像がニコンF2.8で下画像がシグマF1.8です。別日に撮影した写真なので星は全然違いますが、収差の具合はおおよそ同レベルに見えます。どうですか!?
「じゃ、ニコン14-24㎜で良くないか!?」と思うかもしれませんが、F1.8はF2.8よりも約2.4倍も明るいです。なので、F1.8で撮影するとその分多くの光を取り込めるので画質が良くなります。
私はニコンを使っていた時は、焦点距離14㎜、F2.8、ISO4000、SS20秒で撮影していましたが、シグマを使うと焦点距離14㎜、F1.8、ISO2000、SS20秒で撮影できます。
では、この2つの設定で撮影した星景写真の一部を拡大して比較してみたと思います(両方とも撮って出しでノイズ処理等はしていません) 。
どうでしょうか!?
やはり、F1.8、ISO2000で撮影した方が、ノイズが少ないと言うか、細かい!?ですよね(単純にISO2000とISO4000の差だけではないみたい)。わずかな差に見えますがレタッチであれこれやっていくと大きな差になります。
ニコンで撮影していた時はPsで「ダスト&クラッチ」などを使いノイズ処理していました。これでノイズは大分綺麗になるのですがそれなりに副作用があります(なんかのっぺりしてしまう)。
シグマの方はもともとノイズが少ないので処理が楽だし仕上がりも美しいです。しっとり感というか艶やかな感じが星空に生まれたように思います。
ということで、シグマは開放付近でコマ収差は出ますが四隅にちょっと出るくらいですし、全体的な星空の画質を考えるとF1.8を積極的に使っていきたと個人的には思えます(収差の許容範囲は人それぞれですが)。
あと、試しにA3ノビにプリントもしてみました。
このサイズだと若干「周辺部の緩み」みたいなものが出ますが、これはニコンでも同様です。これを解消するとなると、F4とかF5.6まで絞って赤道儀を使うか、あるいはトリミングをするかしかないと思います。
やっぱりF1.8、ISO2000だとこのサイズでも画質良い。iphoneで撮影しているので伝えられませんが。
ちなみに、APS-C機ユーザーにとってはシグマ14㎜F1.8は最強の星景レンズになると思います。換算約20㎜という使いやすい広角具合、またAPS-C機だと周辺部はトリミングされるので収差が出る部分もカットできます。また、F1.8の明るさはフルサイズ機に劣る高感度性能を補ってくれます。
それから、色々調べてみると広角単焦点では「SAMYANG(サムヤン) XP 14㎜F2.4」が周辺部でも収差が少なく優秀みたいですね(周辺減光は大きいらしい)。
周辺減光について
周辺減光は比較的簡単に補正できるので、これがあっても大きな問題ではありません。
ただ、周辺減光している部分はセンサーに当たっている光の量が少ないので、現像で明るく持ち上げた時に荒れ易かったりします。
例えば、星景写真などで画面の周辺部がザラザラしたり、マゼンダっぽい色になるのは周辺減光の影響だったりします。
なので、周辺減光はあるよりもないほうが当然良いです。
それで、シグマの周辺減光はよく抑えられていると思います。
では、比べてみます。
こんな感じ。
この画像だけ見ると周辺減光がキツイように見えますが、ニコンと比べるとそうでもないことが分かります。
ニコン開放F2.8とシグマF2.0を比べてみます。
F値が1段分違いますが、おおよそ同レベルの周辺減光具合に感じます(若干、シグマF2.0の方が良いかも)。
また、 F2.8同士ならシグマの方が周辺減光は少ないです。
周辺減光の少なさについては、シグマは優秀だと思います。
歪みについて
歪みについてもシグマは良いです。
先ほどの写真をもう一度比べてみます。
ニコンは大きく樽型(真ん中が膨れる)に歪んでいます。床の部分を見れば分かり易い。
それに比べて、シグマも樽型に歪んでいるものの程度は少ないです。
これはズームレンズか単焦点レンズかの差なのでしょうか!?
逆光耐性について
シグマの逆光耐性は良好です。
ニコンとシグマで似たようなシーンの写真を比べてみます。
両方とも横から強い朝陽が照らしています(設定は焦点距離14㎜、F8で同じ)。
ニコンは太陽とは反対側に半円状の虹のようなゴーストが出来ます。
これが派手で厄介です。
一方で、シグマもゴーストは出来るもののニコンよりは抑えられています。また、光条の形もニコンより良いように思います。シグマもニコンも9枚円形絞りなのに違って見えるのですね。
さらに、シグマで撮影した他の逆光写真を見てみます。
山の強烈な太陽を画面に入れて撮影した画像です(撮って出しの状態、F16)。
緑色の丸いゴーストが出来ていますね。
ただ、これでも沢山できた方です。
光源の位置によっては殆どゴーストは分かりません(2枚とも撮って出し、F16)。
これだけ強い光を入れても、この写りを維持するのは逆光に強いと思います。
ただし、出玉レンズの宿命でしょうか・・・、太陽が画面外にある場合にゴーストが出来る時が稀にあります。
こんな感じ。ちなみに、ニコンでもこれは出来ます。
ということで、シグマは逆光耐性のあるレンズだと思います。
解像力について
画面中央部に関しては、シグマは開放F1.8でもピント面はよく解像します。これはニコンよりも良いと思います。さすがArtレンズ。
ただし、画面周辺部においてはシグマはニコンに劣るようです。もともとニコンは大変優れた解像力を持つレンズですが、単焦点レンズでも敵わない部分があるのですね。
では、シグマを使いF8で撮影した写真の四隅を見てみたいと思います。
この辺を拡大。
こんな感じ。F8なんでそこそこ綺麗に写っていると思います。
ただ、こんな地面の写真を見てもピンとこないと思うので色々試してみました。
上画像のように壁を写し画面左下にカレンダーを貼っておきます。これの見え方を比べてみたいと思います。
シグマ14㎜F1.8を使いF値を変えて撮影した画像を一気に見てみます。
周辺減光の影響が出ているので比較し難いですが、やはり開放付近は甘めです。
絞れば少しづつですが改善されていくようです。
F1.8とF8との比較。
ついでもニコンで同様に撮影したも比較してみます。
ニコンでも四隅は若干甘めになりますが、それでもかなり良く写っていると思います。F2.8とF8で大差ないです。
私が見た感じでは四隅ではニコン開放F2.8とシグマF4で同じレベルになるかなと思います。
歪み方が違うので比較し難いですが。
四隅の部分においては、ニコンとシグマでは1段くらいの差があるということでしょうか(ただ、F8同士を比べるとシグマの方がすっきり見える気がします)。
ということで、解像力についてシグマは画面中央部ではニコンに勝るものの、開放付近での画面周辺部ではニコンに劣るという結果になりました。
重さ大きさなどについて
シグマは約1170g、ニコンは約970gなので200gもシグマの方が重いです。
ただし、シグマの方が全長が短いのでカメラに装着すると重心がカメラ側に来るようです。なので、数字ほど重さは感じません。
あと、質感もニコンより良く、しっかりとした剛性も感じられます。マウント部分のゴムシーリングも心強いです。
SIGMA 単焦点超広角レンズ Art 14mm F1.8 DG HSM ニコン用 フルサイズ対応
まとめ
ということで、Sigma(シグマ)14㎜F1.8Artには満足しています!
収差だとかの許容範囲は人それぞれですが、この記事を一つの参考にして頂ければと思います!
ニコンとシグマの比較ありがとうございます。
とても参考になりました。
ますますシグマに興味が湧いてきました。
ただ私もテント泊で山を連泊しますので、重さが気になります(^~^;)。
Kazui68さん
コメントありがとうございます!
参考にして頂けて何よです:)
確かに重いです・・・笑
今までSIGMAのレンズの色が、どうしても
ナチュラルというか、コッテリの逆のサッパリと
言うか、ナチュラルな色味でしたが、このレンズは
いかがでしょう?
mickeyさん
コメントありがとうございます!
私もシグマはさっぱりした写りだと思っていました。
ただ、このレンズは超広角だからかもしれませんが、割とコッテリと言うか濃い色が出ますよ:)
シグマのレビューありがとうございます。
一つアドバイスをいただきたくてコメントをさせていただきました。
僕も今年から登山を始めて、広角レンズを購入したいと考えています。主に昼間に風景で使用する予定ですが、星原写真にも挑戦してみたいと思っています。
広角ズームf2.8を購入するのと、広角ズームf4+広角単焦点を購入するのであれば、どちらかおすすめはあるでしょうか。
アドバイスいただけたら嬉しく思います。
Koさん
コメントありがとうごいます:)
難しい問題ですね笑
最初の広角レンズだと、私ならと何でもなこせる広角ズームf2.8を買うと思います!私自身、最初にF4を購入してF2.8に乗り換えた経験があります。
これで風景はもちろんのこと、星景もほぼ満足いく程度に撮影できるのではないでしょうか!?
返信ありがとうございます。
私は現在SonyのFEマウントを使っていて、広角のf2.8も最近発売されたので、お金をためて購入を考えてみたいと思います。
Koさん
ご返信ありがとうございます!
ソニー良いですね;)
いつかソニーも使ってみたいです!
コメントが遅くなってしまいましたが、本当に素晴らしいレヴューです!
Sigma 14mm買うと言っていたのですが、弟が欲しいというので、兄弟で装備かぶるのもあれだからギリギリでまだポチっていません ^^;
Distagon 15mmが星撮りの私の主力なのですが、ISO感度調整の面でF1.8スタートであることはF2.8スタートに対して文字通り段違いの優位性です。このレビューを見る限り解放付近からも使用可能と思いました。
また、高い逆光耐性は月景撮影でのストレスも軽減してくれるでしょう!
Tatsumo77さん
コメントありがとうございます!
ご返信遅くなってすいません。
弟さんもカメラ趣味なんですね。ちょっと借りてみるのも良いかもしれませんね:)
たった1段ですが本当にこの差は大きいなと思いました。
これからさらに使い込んでみるのが楽しみです!
レンズのレビューとは直接関係が無い内容なのですが、雲海に登る天の川の写真がとても綺麗ですね!
何処で撮影された写真か差し支えなければお教え頂いてもよろしいでしょうか?
TTNさん
嬉しいお言葉ありがとうございます!
これは北海道大雪山系トムラウシ山頂付近です。
片道5,6時間の登山となります!