写真は決まった枠の中に対象を閉じ込めます。なので、目の前にどんなに壮大な風景が広がっていたとしても、それをそのまま写すことは不可能です。限られた範囲を四角形でしか写せません。
これはカメラの弱みでありますが、逆に強みでもあります。というのも、限られた範囲でしか写せないからこそ、ありのままの風景とは違った見方を写真で提示することができるからです。
そして、ここで重要になってくるのが構図です。個人的に構図が写真で最重要だと思っています。ただ、これが難しい。
どうしたら白飛びせずに撮影できるかとか、どうしたらい綺麗なパンフォーカスになるかとか、こう言ったテクニックは一度覚えてしまえば、さまざまなシーンで繰り返し用いることが出来ます。
一方で構図は各シーンにより千差万別です。その場その場で最適だと思う構図を考える必要があります。そして、こうした構図を決める力は時間をかけて少しづつ鍛えて育てていくものだと思っています。筋トレみたいな。
では、構図を決める力を鍛える為にはどのよなことを意識して撮影していけば良いのでしょか、まだまだ未熟ながら書いてみたいと思います。
風景写真で構図を上手くなるには!?
じっくり観察する
綺麗な風景をそのまま撮影してしまうと誰が撮っても同じで面白味がありません。
そこで構図を決める前にじっくり風景を観察して他と違っている部分、面白いと思う部分を自分なりに探します。
例えば、以下の点に注目して風景を見てみます。
- 変わった形の物がないか
- 明暗が付いている部分がないか
- 目立った色の物がないか
などです。
まず、いわずもがな変わった形の物はポイントになります。
この場所で辺りを見渡すと切株が目に付いたのでこれを被写体にすることに。ただし、切株もあちこちに沢山あったので、一つ一つ観察して形が一番面白いと思ったものをチョイスしました。
木の根がくねくねしていて特徴的。
次に、明暗(コントラスト)が付いている部分も写真のポイントとすることができます。
この写真は木が紅葉していて傾いた形も面白いという部分もあるのですが、それだけでなく後ろの森よりも光が当たり明るく照らされています。湖面の朝靄も同様に他の部分より明るく照らされています。
全体が照らされるとフラットな印象で面白味がありませんが、明暗差が付いていると写真映えします。
これも。
斜光により明暗が生まれ面白い模様が浮かび上がっています。
こういった明暗(コントラスト)が付いている部分も写真のポイントとなります。
そして、目立つ色です。
緑に赤という組み合わせは補色となり目立ちます。
このように目立つ色の組み合わせというのも写真のポイントして使うことができます。
以上のように、今は例として3つ取り上げましたが、着目すべき点は他にも色々とあります。とにかくその風景をじっくり観察して自分が面白いと思える部分を見つけるのが重要です。これを写真に組み入れることで見たままの風景写真ではなく、自分の視点や考え方を表現した風景写真とすることができます。
次です。
構図を作る際に常に意識するべき点を忘れない
風景をじっくり観察して面白いと思える部分が見つかったのなら、今度はそれがより引き立つよう画面を構成していきます。
この過程ではいわゆる「構図を決めるテクニック」みたいなものが沢山あるのでそれらを用いることが出来ます。前景を加えるとか、3層構造で画面を構成するとか色々ありますよね・・・。
参考:風景写真は前景・中景・遠景の3レイヤー(層)を重ねて構成すると面白い!風景写真の撮り方!
なので、色々と撮ってみて試行錯誤する必要がありますが、それとは別に以下の点はどんなシーンでも常に共通して意識します。
- 水平垂直を取る
- 出来るだけシンプルに整理する
- デッドスペースがないか考える
- 流れや方向を意識する
- 全体のバランスを考える
これらの点です。
まず、水平垂直は基本なのでこれは常に意識です。ここが適当だと写真も適当に見えます。
次に、出来るだけシンプルに画面を整理します。画面がゴチャゴチャしていたら写したいものが何なのかよく分からなくなります。結果的に印象が薄くなる。これは焦点距離を変えることで画面整理すると上手くいくことが多いです。ごちゃごちゃしているのならズームして写る範囲を狭くしてあげます。
そして、デッドスペースがないか考えます。デッドスペースとは意味のない空間のこと。これがあると散漫な印象の写真となってしまうことが多いです。
この写真だと下側の暗い部分が広過ぎるし、空もこんなに広く写す必要があるのか考える必要があります。これがデッドスペースだと思えばカットしてしまいましょう。
あとは、流れや方向を意識します。例えば、川の流れだったり、稜線の方向だったり、草の生え方だったり、岩の配置だったり、風景にはなんとなく流れや方向があります。人の視線は大体これに沿って動くので流れや方向を意識して構図を作ります。
最後に全体のバランスを考えます。写真の各要素には何か重さのようなものがありますよね。何も写っていないスペースは軽く感じて、色々写っている部分は重く感じます。これらを合わせた重心が画面中央に来るようにしてあげます。これは感覚的なことなので言葉にするのが難しいですが、例えると「写真の真ん中に糸を付けて吊り下げた時に水平を保てるか」という感じです。これが決まっていると写真に安定感が出ます。
では具体例です。
作例で具体的に構図決めの過程を見てみる
具体的に構図決めの過程を作例を交えて見てみたいと思います。
場面は旭岳でテント泊した朝です。雪山と日輪という絶景が広がっていました。
単純に写したのが上の写真です。綺麗なのは間違いありませんが、見たそのままで写真として特に面白味がありません。
ということで、あたりを一帯をよく観察します。
そうすると一部の雪面に風紋を発見。これをワンポイントにすることにしました。
ローポジションで下側に風紋を配置し撮影。その結果、上のような感じになりました。
最初よりは良くなったように思いますが、左側のスペースが無駄に広くちょっと散漫な印象を受けます。デッドスペースです。
この辺は不要なのでは!?
なので、これをカットします。ただ、画角を狭めると風紋が画面に入らなくなるので縦構図にしてみます。ちなみに、広い山なので広角でも余計なものは写りません。シンプルな画面を保てます。
その結果がこれです。
縦構図にすることでデッドスペースをカット、また風紋が奥に続く流れをうまく用いることができました。
ということで、そのままの風景ではなく自分が面白いと思った視点を活かし写真を撮影できました。
最初は難しいかもしれませんが続けていくと少しづつ構図力が付いて行くのではないでしょうか。
まとめ
写真は奥が深いですがそれだけ楽しい!
日々少しづつ鍛えて構図力を付けて行きたいですね!
自分が撮った写真でも、人の撮った写真でも、「いいな」と思ったとき、どういう構図なのか意図を考えると勉強になりますよね💡
主役は何か、どこに配置するか、視線が誘導できているか、など私もどんどん練習していきたいです ^^b
tatsumoさん
コメントありがとうございます!
それが一番勉強になりますよね。
人の写真でも勝手にトリミングしたりしてみて勉強しています笑
自分の中でもいつもより”いい感じ”が出てる写真は大体当てはまってるように感じます…!
デッドスペースや全体のバランスは絵描いてる時も漠然と感じていた部分だったのでとても勉強になるエントリーでした!
ヤマヒロさん
コメントありがとうございます!
”いい感じ”が出てる時を思い出すだけで勉強になるかもしれませんね:)
構図は難しいですがコツコツ勉強していきたいです!