撮影テクニック 構図

前景って何!?前景の3つの側面と使い方について。

投稿日:2021年7月30日 更新日:

構図の作り方などの話で、前景という言葉をよく目にします。で、前景とは何なのか・・・。

そんなの知っているよという方も多いかと思いますが、一度しっかり前景について自分なりにまとめてみたいと思います。

前景とは

前景とは写真の1番手前側の部分です。ということは、距離的に最も撮影者に近い部分ですね。

この写真は波打ち際の部分が前景になっている。

この写真は木が前景。

この写真は草の前ボケが前景。

このような具合です。

 

それで、個人的に前景は3つの側面があると考えています。その3つというのが、以下の通りです。

前景の3つの側面と利用方法

写真へ引き込む

写真を見る際に、視線は下側から上側へと移動する傾向があります。

というのも、人は近くのものを先に見てから、次に遠くのものを見ようとすることが多いからです。つまり、写真を鑑賞する際に最初に目に止まるのが前景になります。

なので、前景に何か印象的なものを写すことで、それが人を写真へ引き込むきっかけとなり、さらに視線を奥側へ誘導するチャンスが増えます。写真をパッと一見したその瞬間にインパクトを与えられれば、まじまじと写真を見てもらえる可能性が高くなりますね。

この点において、前景は特徴的なものを選ぶと良いです。例えば、形状がユニークなもの、色が綺麗なもの、質感の豊かなものなどなど・・・。

もし、前景が目に止まらないありきたりな物であれば、写真に興味を持ってもらうチャンスを失うかもしれません。

立ち位置となる

写真で表現したいものの一つに臨場感があります。写真でいう臨場感とは、あたかも実際に自分がその風景の前に立っているかのような感覚です。

それで、臨場感を表現するために、「あなた(鑑賞者)はここに立っていますよ」と、まず写真の中に立ち位置を表現してあげます。この鑑賞者の立ち位置に当たる部分が前景です。

この写真であれば、石に砕ける波を前景に写すことで、鑑賞者に「あなたは波打ち際に立ってますよ」と演出していることになります。これが上手くいけば臨場感に繋がるわけです。

ちなみに、前景は鑑賞者の立ち位置を示すので、必然的に足元の低い場所を写すことになりますね。なので、超広角での撮影がメインとなる。

この写真であれば、足元の岩を前景に写すことによって、鑑賞者に「あなたはこの崖の上に立ってますよ」と演出していることになります。

このように前景は鑑賞者の立ち位置を示す側面がある。

 

では、この場合において前景はどのように利用すれば有効なのでしょうか!?

前景によって鑑賞者の立ち位置を演出した後は、そこから風景を眺めてもらう必要があります。なので、視線を前景からその先へ導きたいところです。そこで重要なのがリーディングライン(視線を誘導する線)です。

前景(立ち位置)からリーディングラインが始り、その先に主題を配置すれば、視線を上手にコントロールすることができます。あたかもその場所に立って風景を眺めているかのように演出できる。

イメージはこのような感じ。リーディングラインは道、川、稜線、岩の配置などなど線っぽいもの、繋がりを感じられるものであれば何でもありです。

なかなか難しいですが・・・。

手前の層となる

風景写真は層に分けて構図作りをすると良いと言われることがあります。

風景を層に分け、それを重ねることで、前後の距離感が認識しやすくなり、結果的に写真に奥行きを表現することが可能となるわけです。

言わずもがな、前景は1番手前の層ですね。これが最も重要。

では、作例を見てましょう。

手前の木が前景となっていますが、これにより手前側の層と奥側の層という2層構造になっていますね。これにより写真に奥行き感や距離感が表現されます。

もし、この写真に前景がなかったとしたら、それはそれで良いかもしれませんが、前後を意識しにくくなるので奥行き感や遠近感は弱くなります。

これも。

草の前ボケを前景として写しています。この前景のおかげで前後関係を強く意識できるようになるので、写真に奥行き感や遠近感が生まれます。

このように前景は1番手前側の層として奥行き感や遠近感を表現する側面があります。

 

この場合のコツとしては、層の重なりをしっかり意識することです。風景写真であれば前景・中景・遠景の3層くらいに分けて考えると良いかもしれません。

上のように1つの風景を前景・中景・遠景に分けて意識的に画面に配置します。これで距離感や奥行き感のある写真になりやすい。

もちろん、3層というのは絶対ではありません。最初の木と雲海の作例は前景と遠景の2層だけでした。要は層をきちんと意識するということが大切です。

前景の3つの側面の関係性

前景の3つの側面は完全に分離しているものではなく、また完全に重なり合っているわけでもありません。

個人的なイメージとしては、前景の3の側面の関係性はこのような感じで表現できます。

先ほどの作例で言うと・・・

これは「手前の層の側面」が大きく、「写真へ引き込む側面」が少しあるかもという感じ。

これは「立ち位置の側面」と「写真へ引き込む側面」がある。

これは「手前の層の側面」だけ。

こんな感じです。

 

最も前景としての効果が高いのが、3つ全てが備わっている部分です。ただし、それが最善というわけではありません。撮影する意図やシーンに応じて、前景のどの側面が適しているかは変化します。

肝心なのは前景のどの側面を活かしたいのか、しっかり意識して撮影することです。

 

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まとめ

何となく前景を入れると良いと思っている方も多いかと思いますが、なぜそれが良いのか考えてみると一層写真が上達しますね!


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