私の住む北海道東部は日本で最も寒い地域の一つです。ここ一カ月以上、プラスの気温で撮影をした記憶がありません。
そんな私へ厳冬期での撮影についてご相談をして頂きました。北欧でのオーロラ撮影です。
もちろん、私は北欧でオーロラの撮影なんてしたことはありません。でも、雪・氷・寒さに関しては道外の方よりは多少慣れているはずです(北海道より北欧の方が寒いでしょうが)。
なので、少しでもお役に立てるよう厳冬期での撮影について、今まで北海道で経験したことを踏まえ全力でお答えしたいと思います。
厳冬期での撮影の注意点についてのご相談
はじめまして。
いつも綺麗な北海道の写真にうっとりしています!来年度の冬に北欧へ旅行に行き、オーロラを撮影する予定です。
来年に向けて今年の冬から売れ残りを安く買っておくべきか悩んでいたところでしたので、非常に参考になりました。
厳冬期での撮影について、いくつか質問させてください。三脚や雲台が、寒さによって動きが悪くなったことはありますか?
グリスが塗られている自由雲台だと、グリスが固まり動きが悪くなったということを聞いたことがありますが・・・
また、カメラ自体が寒さで動かなくなったことはありますでしょうか?
↑のコメントで書かれている、波で凍った時はどのような状況でしたでしょうか。ちなみに、現在私が持っている機材は
カメラ:Canon EOS 70D
レンズ:キットレンズやsigmaの単焦点レンズを持っていますが、オーロラ撮影のためにTokinaのAT-X 11-20mm F2.8を購入予定
三脚:ベルボンのUT-63Qを使用中、星を撮るのが好きなので、頑丈そうなmanfrotto 055(もしくは190)シリーズも検討中です私自身福岡に住んでいるため、少し前の大寒波でもなければ氷点下の世界にはほとんど無縁です。
北海道と北欧では若干環境が異なると思いますが、北海道での経験談を教えていただければ幸いです。
参考:北海道厳冬期での写真撮影の服装!ー20度以下での撮影を耐えたレイヤリング!
ざっくり整理させて頂きます。
- ユーザー名:タマタマさん
- 機材:70D、トキナーAT-X 11-20mm F2.8を購入予定、ベルボンUT-63Q
- カメラの使用目的:北欧へオーロラの撮影
- ご相談内容:厳冬期での撮影について経験談を教えて欲しい(寒さでの三脚やカメラの障害について)
タマタマさん、当ブログへのご訪問ありがとうございます。そして、ご質問ありがとうございます。
北欧へオーロラの撮影ですか・・・羨ましい限りです!ただ、北欧は寒いでしょうね・・・。
寒いと思いもよらぬトラブルが起こることがあります。でも、そんなもので折角のシャッターチャンスを失ってしまう訳にはいきません。
北欧ほどではないでしょうが、寒い北海道での経験を基に、出来るだけ具体的にお答えさせて頂きたいと思います:)
ちなみに、ダイナミックに動くオーロラを躍動的に撮影するには、できるだけシャッター速度を速めた方が良いみたいですね。
トキナーAT-X 11-20mm F2.8は明るくワイドに撮影できるので70Dで使用するには良いレンズだと思います!
wise cameraからのお返事
道東において、1月や2月では−15〜−20度という環境での撮影はほぼ当たり前と言えます。
そこでの三脚やカメラの使用経験談についてお書きします。
寒い場所での三脚について
まず、自由雲台のグリスについてですが、グリスが固まって動きが悪くなったという経験はありません。もしかしたら、多少重くなってるのかもしれませんが、私は全く気付きません。
ちなみに、私はマンフロットとスリックの自由雲台を−20度以下で何度か使用したことがありますが、両方とも同じで問題ありませんでした。
なので、寒くても大丈夫なのだと思います。恐らく3way雲台も可動部にグリスは使われているだろうし・・・。
むしろ、寒い環境で注意すべきは脚だと思います。脚はよく凍りつき調節出来なくなってしまう事があるからです。
先日、大津海岸という場所で撮影していた時です。
参考:大津海岸でジュエリーアイスを撮影!燃える毛嵐と凍てつく氷群!
大津海岸では日の出前に波打ち際で氷を撮影してから朝日を撮影しました。そのために、海水で濡れた脚ががっちり凍結してしまい、朝日の撮影で上手く脚を調整できず大変な思いをしました。
この時は海水による凍結でしたが、海水に濡れなくても三脚に雪が付けばそれが凍りつくことはよくあります。オーロラの撮影でも脚が凍結するかもしれません。
私は脚が3段のマンフロット055を使用しているので力ずくで動かしていますが(それでも脚のレバーが凍るとお手上げです)、ベルボンのUT-63Qは脚が6段でウルトラロック式なので凍りつくと厄介かもしれません。
なので、脚の凍結には注意が必要です。
例えば、雪のついた三脚を室内に持ち込むと溶けますが、それをそのまま外に持ち出すと凍るので水分をよく拭き取るなどの対処が必要になります。
ちなみに、タマタマさんはマンフロット055を検討しているとのことですね。
特に、雪が積もった中では重く大きい三脚の方が優位のは確かです。脚元の雪が不安定で三脚が揺れたり、脚がずぼずぼと雪に刺さり思った高さや水平にできなかったりするからです。
その点で、重く大きなマンフロット055が安定し使いやすいです。ただ、もうタマタマさんも現物を見ていらっしゃるかもしれませんが、ベルボンUT-63Qよりも2倍以上大きく重いです。
これを旅行で持ち運ぶのには覚悟が要ります。私はマンフロット055を普段愛用していますが、旅行へ持って行こうとはなかなか思えません。
ひとまず、ベルボンUT-63Qは重さ1590g、全高151cm、耐荷重3kgなのでトラベル三脚でも雪上で十分使えるのではと思います。もちろん、マンフロット055の方がオーロラのみならず星などの撮影でも活躍すると思いますが。
あと、私は使ったことがありませんが三脚用のスノーシューがあります。これがあれば脚がずぼずぼと雪に刺さるのを防げそうです。
Velbon 雪上撮影用 スノーシュー SNOW SHOE プラスチック製 475503
これも有りかもしれません。私はよく脚が雪に刺さり厄介だと感じています。
ということで、三脚に関しては雲台は問題なさそうですが、脚に注意を払う必要があります。
ちなみに、大津海岸では波でカメラも着氷してしまいました。カメラに波が直接被ったのですが、その瞬間に拭き取る間も無く凍結しました。
ちょっと分かりにくいですが、ズームリングやマウントも氷漬けでした。砕いてブロアーで吹いて丁寧に拭きました:)
寒い場所でのレンズやカメラについて
寒い場所での撮影で、レンズが凍結したり、カメラが動かなくなった経験は一度だけです。
それは、−20度前後で4時間30分のインターバル撮影を試みた時です。下がその時のカメラの様子です(当時、カメラはニコンD7000でした)。
撮影された写真を確認すると、撮影開始約75分でレンズが凍結していました。
上が凍結前で下が凍結後の写真です。
白く濁った写真になります。
この時は寒風吹きさらしの場所にカメラを設置し私は一旦帰宅していました。なので、これは完全にカメラを放置した結果で、普通に寒い場所で撮影する分には殆ど凍結することはない思います。
撮影していない時はまめにレンズキャップをしたり、カメラをバッグに入れれば問題ないのではと思います。実際に、その後何度も極寒の場所で何時間も撮影していますが、レンズが凍結したことはこの他にありません。
また、この時に凍結したのは保護フィルターでレンズ本体は無事でした。なので、万が一に凍結したとしても保護フィルターをしていれば何とかなります。
そして、この時はレンズが凍結してから約2時間後(撮影開始から約3時間15分後)にカメラが止まっていました。
もちろん、カメラが冷えた為でしょうが、カメラ本体というよりもバッテリーが冷えたからなのだろうと思います。というのも、家に帰ってバッテリーを入れ替えたら動いたからです。
なので、三脚にカメラを設置して待機している時はバッテリーだけ外したり、もしくは予備バッテリーがあれば大丈夫だと思います(予備バッテリーも冷やさないように)。
ちなみに、寒さでカメラが止まった経験もこれだけです。他にも厳しい環境で何度も撮影しましたが問題は起きていません。
とは言っても、北欧の寒さは計り知れず色々と不安かもしれませんね。安心して撮影したいなら、レンズに結露防止用のヒーターを付けたり、カメラ用の保温カバーというものもあるようです。
Starry 巻きつけ 型 USB ウォーマー カメラ レンズ の 結露 防止 などに
ただし、やはりカメラの操作性は落ちてしまいます。手袋をしていたり、手がかじかむ場合では尚更なので、これも考えものですね。
とりあえず、ホッカイロくらいあれば身体を温められるし、いざという時にレンズやカメラも温められるのであれば役立つのでは思います。
寒いとホッカイロも温まりにくいので、大きめのホッカイロをおすすめします:)
その他注意点:結露について
特に、寒い場所での撮影では結露に注意する必要があります。
寒い屋外から暖かい屋内に入る時は必ずレンズキャップをし、カメラをタオルで包んだりバッグに収納したりする必要があります(急に暖かい空気に直接触れさせてはなりません)。
一旦結露するとそれが収まるまでしばらく撮影不可になってしまいます。カメラの不具合にも繋がります。私も何度か結露させたことがありますが結構厄介です。
そして、撮影中は呼気にも注意が必要かと思います。
当然、息がレンズやファインダーにかかると曇ります。
気温が低いとそれが霜になって付着してしまう可能性があります。私はファインダーが呼気により凍結し、その後に撮影し難かった経験があります。
これも要注意です。
まとめ
以上、寒い地域の厳冬期での撮影の際に、注意するべきことです!
何度も言ってしまいますが、北欧でのオーロラ撮影羨ましいです!
ご丁寧に記事まで書いていただき、ありがとうございます!
大変参考になりました。
私が調べた限り、北欧はアラスカ等に比べると気温が高く、フィンランドのヘルシンキでは1〜2月の最低気温でも-10℃いかないようです。
オーロラが見える場所はもう少し寒いでしょうが、気温だけ見ると道東と変わらないのではないかとも考えています。
湿度とかで体感は違うでしょうが・・・
三脚ですが、まだ055を手にとってじっくり見たことがないので、スノーシューと合わせて家電量販店で見てみます。
レンズが凍った件ですが、ここの製品がいいみたいですよ。
http://www.geocities.jp/tpkkagato/syouhin/hi-ta-.htm
私も持ってはいるのですが、雪が降るような場所で使ったことがないので北海道で使っていただければ非常に参考になります。笑
4時間半のインターバル撮影を試みた時の凍ったレンズはSIGMAの17-50mm F2.8でしょうか?(違ったらすみません)
防塵防滴ではなかったような気がしますが、意外と大丈夫なもんですね。
使った後のケアが重要そうです。
実は新婚旅行でして、本当はウユニ塩湖に行きたかったのですがあまりにも高く、諦めてオーロラに変えました。
ですが、この冬の寒波を経験して「この10倍ぐらい気温が低い場所で撮影なんてしていられるのだろうか・・・」と不安にもなっています笑
この期を逃すと一生オーロラを見る機会はなさそうなので、いただいたアドバイスや先日の記事を参考にして、頑張ってこようと思います!
本当にありがとうございました。
これからも北海道の素敵な写真を楽しみにしています。
タマタマさん
ご返信ありがとうございます:)
ヘルシンキは意外に暖かいのですね!−10度くらいならカメラも全く問題無いと思いますよ!
なるほど、このヒーターですか、、、雪の中で試してみたくはあります笑
はい、シグマのレンズです。おっしゃる通り防塵防滴ではありませんが、意外に大丈夫でした。
タオルに包んでゆっくり解凍するのが良いようです:)
ウユニ塩湖ですか・・・高いんですねー、、、行ってみたいものです!オーロラも憧れです!
今年の冬は福岡もかなり冷えたようですね、撮影の際は手足の冷えにご注意いください:)
少しでもお役に立てて何よりです:)
ぜひ、最高の写真を撮ってください!
こちらこそ今後とも宜しくお願いします:)
秋ごろの半端な寒さですと、凍りはしませんがレンズが曇ってしまって使えなかった記憶があります。それに比べると同じく大津海岸で撮影したときには、マイナス10度くらいのほうがよほど曇らなくていいな〜と思いました。
海外旅行ですとオーロラを見るためのツアーだと思いますので、寒さの問題よりも、オーロラを見るための時間内にいかにテキパキと撮影チャンスをものにするかが重要だと思います。
僕は最近ツアーに頼りっきりです。ツアーでないときはいくらでも時間を費やせますが、ツアーですと限りある時間に焦ってなかなかいい写真を取れません。
せっかくの新婚旅行、そしてオーロラですので準備万端で素敵な写真を撮れることをお祈りしています。
ぷりぷりまっくさん
コメントありがとうございます!
大津海岸は寒かったですね。確かに・・・空気も乾燥していましたし。
オーロラの出現率が気になります。ツアーは便利ですが、時間の自由がきかないのが難点ですね。
北海道でも赤いオーロラが見られるらしいので見てみたいです(カーテンのようにはなりませんが)。
はい。最高の新婚旅行にしていただきたいです:)
ぷりぷりまっくさん
アドバイスありがとうございます!
ツアーはやはり時間との戦いですよね。
オーロラに限らず、観光地でも後悔せずに済むように撮りたい写真のイメージを持ち、周りに迷惑がかからずさっと撮れるように準備したいと思います!
何より、写真ばかり撮っていると隣から冷たい視線を浴びせられますので・・・
タマタマさん
お返事ありがとうございます!
何度もシュミレーションですね:)
確かに周りの視線も気になります・・・笑
タマタマさん
オーロラ鑑賞旅行ともなると、見るだけではなく土産用の写真だってみんな撮りたいはずです。あとでツアー仲間から羨ましがられるような素敵な写真を撮ってください!
背景がオーロラのカップル写真なんか一生の記念でしょうね!ありそうでなかなかないような気がします。
ぷりぷりまっくさん
寄り添う二人のシルエットのバックにオーロラって感じですかねー
いい感じに撮れるよう考えてみます!
ただ、奥さんは寒がりなので僕が「あーでもないこーでもない」と設定をいじくっていると、また冷たい目で見られる恐れが・・・笑
それもまたいい思い出として、楽しんでこようと思います。
私は最近星の撮影をするのですが、インターバルで撮影しているとレンズが曇ってしまうのでタマタマさんが購入されたレンズヒーターを使用しております。
-9度の富士山麓や八ヶ岳でもレンズ面が曇ること無く撮影が可能です。
カメラについてはまだ凍ったことが無いのですが、やはり何か対策をしないととにかく電池の減りが早いです。
カメラ用の保温カバーを付けている方がいらっしゃいましたが、カバー内にカイロを入れるところがあるのですが、そこにはホッカイロのようなカイロでは無く白金カイロやzippoのカイロでないとダメだと言っていました。
暖かいところに行く場合には密閉したビニール袋も効果有りだそうです。
uchiさん
コメントありがとうございます!
このレンズヒーターは良いものなんですね:)私が買うならこれにしようと思います!
確かにバッテリーの減りは寒と早くなりますね。
ホッカイロの発熱程度では温めることができないのですね・・・。白金カイロやzippoですか・・・参考になります!
暖かい空気に触れないようにすれば良いので、ビニール袋に密閉もありですね!簡単にできますね:)
2012年にフィンランドにオーロラ見に行ってきたのでその時の経験談を。
雪に関してですが、向こうの積もった雪は
ザラメみたいな感じなので、ズブズブ埋まってしまう感じは無かったです。
オーロラ撮るのに一眼が有った方が良いと聞いて
出発の1ヶ月前にD3100の18-55レンズキットと
実売7000円位の三脚買ってカメラの使い方も
良く分からないまま行きましたが機材のトラブルは
無かったです。カメラが入るジップロックで
結露対策したのと、電池の減りがやたら早いので、
ポケットに暖めたスペアバッテリー入れてた程度ですかね。
電池は使い方に関わらず二時間位で空になると思ってた方がいいです。
後は人間の寒さ対策ですかね。
メガネの人はメタルフレームは凍傷の可能性があるので
やめた方がいいです。目出し帽みたいな顔の保温が
できるものは有った方がいいです。耳当てと
マスクで代用出来ますけど。
マスクからの息でメガネが曇ってそれが凍って
見えなくなるので同様にカメラに息がかからないように気を付けて下さい。
メガネじゃない人も、睫毛が凍って目が開かなくなることがあるので要注意。
軽く擦れば開きますけどね。
押しコップさん
コメントありがとうございます:)
実際に行かれた方の情報がありがたいです!
情報を公開させていただきます:)