よく白飛びは良くないと耳にすることが多々あります。
ただ、なぜ良くないと言われるのか、よく分からない方も多いでしょう。そもそも白飛びがどのような状態なのか・・・!?
ということで、今回は白飛びとは何なのか、なぜ良くないとされるのか、について書いてみたいと思います。
目次
白飛びとは?
白飛びした写真を見てみよう
白飛びとはざっくり言うと、明る過ぎて白くなっている部分のことを言います。
この写真なら空の部分ですね。本来なら空に色があるはずですが、白くなって色味が失われています。
では、これはどうでしょうか!?
これも空が明る過ぎて白っぽくなっています。ですが、これは厳密には白飛びでありません。
なぜなのか・・・!?もう少し詳しく白飛びした状態について確認していきましょう。
白飛びした状態
白飛びとは「明る過ぎて白くなっている部分」と書きましたが、ではデジタル写真において「白」とはどのような状態を指すのでしょか!?
デジタル写真では色をRGBで表示しています。
デジタル写真はモニターの光で色を表示するので、光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)で表現されるわけです。
1枚のカラー写真も赤(R)、緑(G)、青(B)に分けられます。
赤(R)、緑(G)、青(B)の画像が重なり、1枚のカラー写真を表現しているわけですね。不思議ですが。
そして、赤(R)、緑(G)、青(B)には、それぞれ明るさの強弱があります。明るさの強弱は「0〜255段階」で表示されます。例えば、「R = 0」であれば一番暗い赤、「R = 255」であれば一番明るい赤です。
そうすると、「R G B = 0 , 0 , 0」なら3色とも一番暗い状態で、写真では完全な黒の部分になります。一方で、「R G B = 255 , 255 , 255」なら3色とも一番明るい状態で、写真では完全な白の部分になる。
つまり、この「R G B = 255 , 255 , 255」で完全な白の部分が白飛びとなるのです。
先ほどの白飛びした写真。
「RGB = 255 , 255 , 255」で完全な白、つまり白飛びですね。
この写真は。
「RGB = 252 , 251 , 249」なので、完全な白ではありません。つまり、厳密な意味では白飛びではないです。単に明る過ぎるだけ。
ただ、実際の撮影時や現像時に「R G B = 255 , 255 , 255」になっているなんて分かりませんよね。どうやって白飛びしているのか判断すれば良いのでしょうか!?
白飛びの判断方法
白飛びの判断にはヒストグラムがよく使われます。
撮影時や現像時にヒストグラムを確認し、右側に接している部分があれば、それは写真に白飛びしてる部分があることを示しています。
これは白飛びしています。
また、白飛びしている部分を表示してくれる機能が搭載されているカメラもあるので、これを使えば簡単に白飛びしているかどうか判断可能です。
では、なぜ白飛びが良くないと言われているのでしょうか!?
白飛びがなぜ良くないと言われるのか
なぜ、白飛びがなぜ良くないと言われるのか、2つの状況に分けて考えたいと思います。
それが、
- RAWの白飛び
- JPEGの白飛び
です。
RAWの白飛びとは、簡単にいうと撮影した元画像の白飛びということです。
JPEGの白飛びとは、現像後にRAWからJPEGに書き出した際の白飛びです。最終的な完成作品の白飛びというですね。
RAWの場合
RAWの場合で考えると、白飛びしている部分はデータのない状態になるので、現像でいくら調整しても欠損部分となってしまいます。これは一体どういうことなのか!?
では、試しに画像を現像してみましょう。
まずは、明る過ぎるけれど白飛びしていない画像を、暗く調整してみます。
そうすると、明る過ぎた空が、元の状態に戻りました。空の色やグラデーションも出ています(ただし、白飛びギリギリでは適正露出と比べ、色の再現性でやや劣ることがあるかもしれません)。
次に、白飛びしている画像を、同じように暗く調整してみます。
そうすると、今度は空が元に戻りません。本来ならば空の色やグラデーションがあるはずですが、のべっとした部分が広がるだけです。
試しにさらに暗くしてみましょう。
やはり全然ダメです。
これが白飛びによる欠損です。元画像が白飛びしていると、その部分に色情報が残っていないので、いくら調整しようにもどうにもならないわけです。ジグソーパズルのピースがない状態と言いましょうか・・・。
やはり、RAWで撮影した元画像は、現像できる幅が広い方が良いです。それだけ自由に調整できるので。
白飛びしている画像を元に戻すことはできませんが、白飛びしていなければ後からどうにでも好きにできます。
なので、白飛びは良くないと言われています。次に、JPEGの場合です。
JPEGの場合
JPEG画像では、RAWの場合とは話がちょっと別です。というのも、JPEG画像ではプリントする際に、白飛びは良くないと言われているようです。
プリンターには白インクがありません。なので、真っ白の部分はインクを乗せずに、紙の白さを用いることになります。つまり、白飛びしてる部分にはインクが乗らないことになるわけです。
写真にインクの乗っている部分と、インクの乗っていない場所があると、穴が空いたような雰囲気で、見た目が不自然になることが多々あります。光の反射具合も違ってくるので、これも不自然に見えることがある。
なので、JPEG画像ではこのような理由で白飛びは良くないと言われています(実際には、白飛びしないギリギリの状態でも上手くプリントされない場合もあります。また、これはプリンターの性能にもよる部分もあるかと)。
ただし、これはモニターで見るだけなら関係ない話かなと思います。
白飛びしても別に良い
上記したように、RAWでの白飛びはやはり避けた方が良いです。しかし、現像後のJPEG画像で特にプリントする予定もないのなら、白飛びは一概に良くないとはいえません。
白飛びを上手く利用すれば、溢れ出る光みたいな表現も可能です。
なので、表現方法の一つとして白飛びもありかと思います。
白飛びさせない方法
基本的に明るい光、白い色ほど白飛びしやすいので注意が必要です。
デジタルカメラは白飛びしやすい特徴があるので、白飛びさせない幾つかの方法があります。
ちょっと暗く撮る
あえてやや暗くRAWで撮影し、現像の際に明るく調整するという方法があります。
RAWはそこそこ暗くても、綺麗に明るくできます。暗さに強い。なので、白飛びしないようにちょっとだけ露出を下げて撮影し、あとで明るくするわけです。
これはフォトグラファーの間で広く用いられている方法になります。
HDRや露出ブレンド
明るさの異なる画像を撮影し、合成ソフトを使って1枚にするHDR合成という方法があります。暗い写真、普通の写真、明るい写真などの良い部分を繋ぎ合わせるので、綺麗に仕上がります。
また、露出ブレンドという方法もあります。露出ブレンドは手動でするHDR合成みたいなものです。HDR合成はソフトで自動的に行いますが、露出ブレンドはPhotoshopなどを使い、自分で画像を合成していきます。HDR合成よりもきめ細やかな作業が行える。
SNSで見かける綺麗な写真などは、露出ブレンドが使われていることが多かったりします。私も露出ブレンドをよく使う。
ハーフNDフィルター
ハーフNDフィルターを使用する方法もあります。ハーフNDは半分だけ減光効果のあるフィルターです。
【KANI】カメラ用 光量調節用 角形ハーフフィルター SOFT GND0.9 150x100mm
これです。
これを使うことで、明るい部分の光をカットし、白飛びを抑えるわけですね。
これも広く用いられている方法です。
まとめ
白飛びは良くないと言われることが多いですが、写真は自由です。
決まりごとに縛られれずに好きに撮りましょう。