歪み、流れ、収差、周辺減光、パープルフリンジってご存知でしょうか?
細かいことなので、特に気にしないというのであれば何も問題はないです。
私は気になってしまいます。
せっかく撮影した写真なのに、「あれ?ここなんか変・・」みたいな感じで、がっかりしたくはないです。
できるだけ綺麗に撮影したいのです。
ただ、これらの原因は複数あるし、技術的に避けられないものもあります。
それでも、防止する方法がいくつかあるようです。
周辺減光
結構有名なやつ。下写真のように写真の中心部よりも四隅が暗くなってしまう現象です。
これはこれで味があって良いと思います。わざわざ加工してこんな感じに仕上げる人もいます。ただ、やはり嫌なときもあります。
周辺減光は絞り開放で撮影すると起こり易い現象です。なので、F8とかF11くらいにまで絞ると防ぐことができます。
一方で、絞りでは解決できない周辺減光もあります。ただこの場合、コサイン4乗法則という難しい話が絡んでくるようなのでここでは省きます。
多くの場合では、絞れば周辺減光を防止することができます。
各種収差
ひとくちに収差と言っても、原因も現象も様々です。代表的なものを見てみたいと思います。
ちなみに、「実際の光学設計上、やむを得ず生じてしまう理想的状態との差」を「収差」と呼びます。理想と現実のギャップみたいなものですね。
まずは原因からです。
収差の原因
光の波長分散
光は色により波長が異なります。その波長の違いによって、ガラス(レンズ)を通った時の屈折率も異なります。
そうすると、光がレンズを通った時、下図のように光が色別に分散してしまいます。
こんな感じで色別(青、赤、緑)に分散してしまいます。理想は一点で集まることです。この理想と現実のギャップが収差として画質低下をもたらします。
主として色のにじみや色ずれが現れるのが特徴です。
レンズに特殊低分散ガラスが使われていたりするのは、これを抑えるためです。
レンズの形状
レンズの形状でも収差は起こります。
レンズは平面ではなく球面です。そのために、同色の光であってもその入射位置により屈折する角度が異なります。そのために、下図のように光が収束する位置がずれてしまいます。
上の屈折率の違いのように色別に分散するのではなく、通過するレンズの位置によって光そのものが分散します。
理想は光が一点で集まることです。この理想と現実のギャップが収差として画質低下をもたらします。
主にこれらは像のにじみや流れが起こるのが特徴です。
レンズの非球面レンズが使われていたりするのは、これを抑えるためです。
では、原因を確認したところで、いろいろ収差を見ていきたいと思います。
歪み
歪みも収差の一つです。
問題視される歪みは大きく2つ上げられます。それが「樽型の歪み」と「糸巻き型の歪み」です。
1つ目が樽型歪みで2つ目が糸巻き型歪みです。樽型は広角で起こり易く、糸巻き型は望遠で起こり易いといわれています。
これを実際の写真で見てみるとこうなります。私の写真でそれっぽいものがなかったので、大げさに加工してみました。
大げさ過ぎですね。上が樽型で下が糸巻き型です。
風景写真では気付くことは少ないですが、建物など直線的なものを撮影すると気付き易いです。ちなみに、単焦点レンズなどよりズームレンズで起こり易いようです。
これはレンズの形状に起因する収差です。レンズが球面であるために、光が分散し像が歪みます。
撮影時の対策としては、ズームレンズであれば、広角端よりも少し望遠側で、また望遠端よりも少し広角側で撮影すると歪みを抑えることができます。広角端と望遠端を避けて撮影です。
ただ、広角端や望遠端を使って歪んだとしても、後でレタッチソフトで補正すれば綺麗に取り除くこともできたりします。そして、レタッチソフトで補正する方法がより一般的対策のようです。
画面周辺部の流れ
画面周辺が流れるなどとよく言われます。
例えばこれです。
赤枠部分を拡大します。
左は像が流れてぼやっとしています。右は葉っぱの形状が判別できます。シャープさが全然違いますね。左写真は収差により流れている状態です。右は正常な状態です。
これはレンズの形状に起因する収差です。レンズが球面であるために、光が分散し像が流れてしまいます。特に、「コマ収差」と呼ばれるものが画面周辺の流れの原因になるようです。
「コマ収差」とは「画面周辺にでる尾を引いたような像の流れ」です。まさに上写真の像の流れです。
レンズの口径が大きく明るいレンズほど起こり易いとされます。最近、私は超広角レンズを購入しようとしているのですが、やはり超広角レンズは流れが起こりやすいようです。画面周辺の解像感が気になって仕方がないです。
対策としては絞りを絞り込むことで緩和させたり解消させることができます。なので、画面周辺部がもやっとしたらある程度絞ると良いです。
色収差
これは光の波長の違いによる分散で起こります。
このように光が分散するので、
上写真のように色ずれが起きて画質が悪くなってしまいます。
細かい話ですが、正面から入った光が前後にずれるのが「軸上色収差」と言われ、斜めから入射した光が横方向にずれるのが「倍率色収差」と言われます。下図です。
「軸上色収差」は画面中心部で起こり像の淵がにじみます。「倍率色収差」は画面周辺で起こる色ずれやにじみです。
対策としては、「軸上色収差」は絞って被写界深度を深くすれば抑えることができます。一方で、「倍率色収差」は絞りでは抑えられないです。性能の良い高価なレンズを使うしかないようです。
パープルフリンジ
これは紫色の淵ができる現象です。これも色収差の一つです。
例えばこれです。
男性の顔と女性の手の周りが紫色っぽくなっています。
これもです。境界に紫色が入り込んでいます。
上写真のように明るいバックに暗いものが重なり合う時にたまに起こる現象です。
原因としては、複数あります。光の波長分散による色収差や、レンズの形状に起因するにじみなどが原因です。
対策としては、絞りを絞り込むことです。これで劇的に改善したり解消することもあります。あとは、撮影後でもレタッチソフトなどで除去することも可能です。
まとめ
これでも十分細かい話かと思いますが、もう少し踏み込むともっと細かいです。
だいたいにしてある程度絞るというのは、様々な収差を抑える上で有効なようです。