風景写真の撮り方というのは色々と沢山ありますが、一つの方法として前景・中景・遠景の3レイヤー(層)を重ねて構図を作るという方法があります。
特に広角を使用した風景写真で使いやすい方法で、上手く決まれば物語を感じ取れるような雰囲気のある写真になります。
ということで今回は、前景・中景・遠景のレイヤーを重ねた風景写真の構図ついて書きたいと思います!
前景・中景・遠景と言われるとややこしそうですが、全然そんなことありません:)
目次
前景・中景・遠景を重ねて風景写真を撮る
どうして前景・中景・遠景で構図を作ると良いのか!?
なぜ前景・中景・遠景でレイヤーを重ねると良いのか!?
これの一番の理由は写真に立体感が出るからと言われています。
確かに前景(青)・中景(赤)・遠景(黄)と3層が重なっていると奥行きが生まれますね。視線も前後に動きます。
あとは、一つの風景を前景・中景・遠景で分けて考えた方が構図を決めやすいということもあると思います。
前景・中景・遠景になりそうなものをそれぞれ見つけて、それらが画面に納まるようにカメラを動かせば良いだけですからね:)
パズルみたい。
これなら構図をどうしたら良いのか無駄に悩むことも少なさそうです!
では、それぞれを見てみたいと思います。
前景
前景は一番手前側のもの。これは見る人を写真の世界の引き込むきっかけになったり、見る人の視線を前後に誘導する役割を果たしてくれます。
風景写真を撮る上ではかなり重要な部分になります。
前景に適したものは、例えば、ゴツゴツした岩、ふわふわした雪、てかてかした葉っぱ、しっとりとした苔、ざらざらした切株などなど質感の豊かなものが良いとされています。
あとは色とか形が特徴的なものですね。インパクトのあるものです。
上の作例では切株を前景としました。ただ、本当はもう少し形が変わっていて面白味のある切株であれば良かったなと思います。あるいは、もし手前側の雪面に派手な風紋なんかがあれば、それを印象的な前景にできたと思います。今回はありませんでしたが。
いつも思ったような前景に出会えるとは限りませんが、撮影スポットに着いたらまずは前景になるものを探すよう心がけると良いかもしれませんね。
現場で何に注目して前景にするのか、これは撮影者によって大きく変わる部分だと思います。写真撮影の能動的な部分、個性の出る部分ですね!
中景
中景は遠景と前景の間です。そままですね。
上の作例で言うとタウシュベツ橋と黄色のテントです。
遠景
遠景は写真のベースとなる部分です。風景写真を上手く撮影するための初歩的な条件でもあります。
遠景と言っても色々ありますが、風景写真であれば空というのが遠景の基本になるのではないしょうか!?・・・、特に広角レンズを使っていれば殆どの場合、遠景に空は写り込みますね。
なので、青空、朝空、夕空、星空、月空などイメージにあった空を遠景として選びたいです。
もちろん、空だけでなく山並みや森、街並みなんかも遠景となります。ですが、いずれにせよ遠景にごちゃごちゃしたものや、美しくないものは相応しくないです。
例えば、のっぺりとした曇り空なんかは遠景としては映えません(長秒とかすれば良いかもしれませんが)。このような場合は出来るだけ写さない方が良いとなります。
空が黄色から赤色に染まる朝夕のマッジックアワーや、深い青色が楽しめるブルーアワーなどの空が遠景によく好まれますね。
遠景は天気次第といった傾向にありますが、可能な限り希望する遠景となるように時間や天気予報をチェックして撮影にのぞむと良いですね:)
前景・中景・遠景のバランスをとる
前景・中景・遠景となるものが決まれば後は撮影です。
ちなみに、これら3つを写真に写すためには基本的に広角が必要になります。画角は前景の大きさによって広角具合を決めると良いと思います(殆ど超広角です)。
そして、撮影では前景・中景・遠景が上手く画面に納まるようにカメラを動かしていきますが、難しいのが「前景・中景・遠景のバランスをどうするのか?」ということです。
これについては、とりあえず一番メインで写したいと思った部分を広くすれば良いのだと思います。とは言っても、色々バランスを変えて何通りも撮影し、後で選んでもいいですね。
それと、広角で前景にぐっと近寄るのも良かったります。そうすることで前景がより大きく写り、写真にインパクトが生まれますし、ものの質感も伝わりやすくなります。写真から質感が伝わるって良いですよね:)
こういった撮影の場合、殆どはローポジション・ローアングルでの撮影なると思います。また、被写界深度を深くする必要もあるので、場合に応じてF22、F16など絞って撮影することになります。
ちなみに、前景・中景・遠景で重ねて撮影していれば、主題と副題みたいな関係も簡単に作れますよ:)
では、先ほどの写真をもう一度見てみます。
この時はタウシュベツ橋とテント(中景)、それから雲が流れる月空(遠景)をメインに写したかったので、この2つに大きなスペースを割きました。
前景のインパクトみたいなものは弱くなりますが、中景と遠景の幻想的で静かな雰囲気が気に入っています。
もし、これで月が出ていなくて手前に大きなシュカブラ(雪面の風紋)なんかがあれば、前景としてシュカブラにぐっと寄って目一杯大きく写し、逆に遠景の空はあまり写していなかったかもしれません。
これは同じタウシュベツを夏に撮影したものです。
前景に切株、中景にタウシュベツ橋、遠景に青空で撮影しました。上の作例と殆ど同じ組み合わせですね。
ただ、この時は切株の根が隆々と逞しかったので目一杯大きく写しました。前景のインパクトが強いと思います。その代わり中景と遠景は控えめです。これは殆ど前景メインの写真ですね。
ちなみに、切株が立派だからと言って中景と遠景を省いてしまうと、奥行き感も面白みにも欠けてしまいます。中景と遠景をさりげなく入れるのが大切です。
このような感じで、何を写したいかによって前景・中景・遠景の割合を変えていきます:)
上の写真は前景(岩)・中景(雲海)・遠景(日の出)の3レイヤーになっていますが、下の写真は前景がなく3レイヤーになっていません。
3レイヤーの方が奥行きや立体感を感じませんか!?
また、崖の上から雲海を見下ろしている現地の雰囲気も3レイヤーの方が感じられませんか!?
まとめ
ということで、機会があれば風景写真の撮影方法の一つとして前景・中景・遠景の3レイヤーで構図を作るという方法を是非試してみてくださいませ!
上手くいけば物語を感じられる写真になりますよ:)
いやー このタウシュベツの写真は本当に素晴らしいです。写真を撮るまでの準備、過程、構図、現像も全部含めて「wiseさんしか撮れない写真」といって良いのではないでしょうか!本当に尊敬します!
Springさん
コメントありがとうございます:)
いえいえ!まだまだ修行が足りません!!
ただ、こんな場所でテント泊しようという輩は自分くらいかもしれません笑
ぎりぎりまで攻めていきたいと思います笑
いやいやこれで、修行がたりないとかは、、、^^; ナショジオとかでもいけるレベルだと思います!
私も先週、霧氷を撮影しに美ケ原までいき、―15度で1時間くらい朝焼けを狙いましたが寒さ限界でした。とてもテント泊などできそうにありません^^;装備は大事ですね。こちらのHPで勉強していきましたので、服はなかなか大丈夫でしたが、顔と耳が耐えられませんでした。次回はそのへん改善したいと思います。
別件ですが、LightroomからJpg書き出しすると、青空がトーンジャンプするようになりました。縮小して書きだすからですかねえ??Lightroom上ですと問題ないのですが、Jpg書き出しすると発現してしまいます。なかなか難しいですね
Springさん
ご返信ありがとうございます:)
美ケ原は憧れの場所です!一度は行ってみたいです:)
耳は特に冷えますね・・・私は先日凍傷になってしまいました。薄皮が剥けて治ってきましたが・・・。お気をつけくださいませ:)
それは私も困っています。
縮小せずに最高画質での書き出しが良いみたいです。
さらに、LrでTiffで書き出し、さらにPsで読み込みPNGで書き出し、そしてPsでPNGを読み込みJpegで書き出し、とするとよくなる事があるようですね。
かなり手間がかかりますが、どうしてもトーンジャンプが気になる時は試してみる価値があるかもしれません:)
へー!そういう裏ワザがあるんですね!ちと面倒ですが、いざという時は、試す価値ありますね!ありがとうございます!
Adobeさんうまい具合に改良してくれないかなあ・・・
Springさん
ご返信ありがとうございます!
あとはワザとノイズを足すとかもあるらしいですよ:)
Adobeさんに期待したいです。そもそもJpegの256階調も少ない気がします!
前回のタウシュベツ記事を今更見てですがこの解説は嬉しいです!
タウシュベツ本当に良いですね、崩れてしまう前に四季の姿を撮影したいです
レイヤー重ねは勉強になりますね、自分に風景写真をみると2レイヤーで構成されてる事が多いのでもっと意識しようと思います
今度阿智村の方に星空の写真を撮りに行くのでうまくいかせて取れるようにしたいですね
セキさん
コメントありがとうございます!
タウシュベツは異世界間がすごいですよね:)
周りの森とか山々も秘境感が強いです!いつまでも残って欲しいです:)
私もまだまだですが3レイヤーは結構使えそうです。写真の雰囲気がガラリと変わりますよ!
阿智村は憧れです!いつか行ってみたいです:)