日中に長時間露光しようとすると、NDフィルターを重ね付けする必要が時々出てきます。
私もND400とND16を重ね付けして使うことがあります。そんな時に問題になるのが「色かぶり」です(重ね付けしなくても出ますが)。
色かぶりとは写真が特定の色に偏ってしまう現象です。意図せず写真が黄色っぽくなったり赤っぽくなったりしてしまいます。
NDフィルターを重ね付けすると、色かぶりを起こすことが多々あります。原因はわかりませんが、写真が青くなったり黄色くなったりと場合によって様々です。もちろん、色かぶりしない時もあります。
これがなかなか厄介です。ということで、今回は色かぶりの補正について書きたいと思います。
色かぶりした写真
下はNDフィルターを重ね付けして撮影した写真です(ND16とND400)。
まず、これがフィルターなしで撮影です。
これがNDフィルターを重ね付けです。
SS10秒で撮影です。やや緑色っぽく色かぶりしています。不思議なことに場面によっては黄色っぽくなることもあります。
これをRAW現像で元の色味に戻してみたいと思います。
色かぶりの調整
分かりやすいように写真を並べてみます。
では、まずヒストグラムを確認します。
1枚目が正常な写真のヒストグラムで、2枚目が色かぶりした写真のヒストグラムです。
よく見ると、上側のヒストグラムは赤色と緑色が重なっています(重なって黄色)。一方で、下側のヒストグラムは赤色と緑色が重なっていません。ちなみに、両方とも青色が右にずれていますが、これは海を撮影しているためで問題ないことです。
上の事から、色かぶりを起こした原因は赤色が不足し緑色が多いことだと推測することができます。ヒストグラムから様々な情報を読み取ることができるのですね。
これをホワイトバランスを調整することで元に戻していきます。ここではLightroom6で調整していきたいと思います。
下がホワイトバランス(WB)を調整する項目です。「色温度」と「色かぶり補正」という2つのスライダーで構成されています。
「色温度」ではブルーからイエローに写真の色を変えられます。「色かぶり補正」ではグリーンからマゼンダに写真の色を変えられます。スライダーに色が付いているのでわかりやすいですね。
では、調整していきます。
今回、色かぶりしている写真は赤色が不足し緑色が多いので、「色かぶり補正」のスライダーを右に動かしグリーンをマイナスしマゼンダをプラスしていきます。
「色かぶり補正」を+9から+31へ動かしました。
その結果です。上が調整前の写真で下が調整後の写真です。
かなり緑味が取れました。
ヒストグラムも確認します。上が調整前のヒストグラムで、下が調整後のヒストグラムです。
赤色と緑色が重なるようになりました。正常な写真のヒストグラムに近づいてきました。
ただ、よく見ると今度は少し青っぽい気がします。
なので、次に「色温度」を調整します。「色温度」のスライダーを右に動かし青色を減らします。右に動かし過ぎると写真が黄色っぽくなるので注意が必要です。今回は「色温度」を5150から5350と+200しました。
これで完成です。
上がフィルターなしの写真で、下が色かぶりを調整した写真です。
これでだいたい同じような色味の写真になりました。もっと追い込んだ方が良いのでしょうが、今回はこれで止めておきます。
ちなみに、ホワイトバランスと言えば「色温度」を連想しますが、「色温度」のみの調整ではなかなか上手くいかないようです。
下写真は「色かぶり補正」を調整せずに、「色温度」のみを調整した写真です。「色温度」を5150から5750と+600しました。少し大きく動かしました。
その結果、緑味は完全に消えず、それに加えて変に黄味が増しました。
ヒストグラムを見てみます。上が調整前のヒストグラムで、下が「色温度」のみを調整したヒストグラムです。
「色温度」のスライダーのみを右に動かしたために、青色が左にずれ緑色と重なった状態です。結局、赤色と緑色の量に変化はありません。下のフィルターなしのヒストグラムとは違っています。
ということで、「色温度」のみの調整では上手くいきませんでした。
今回のように色かぶりしてしまった写真は、ヒストグラムをよく確認し、「色温度」と「色かぶり補正」の2つのスライダーで調整する必要があります。
ただ、シャドー部のみに色かぶりしたとかハイライト部のみに色かぶりしたという場合は他の方法が必要です。「カメラキャリブレーションの色かぶり補正」や「明暗別色補正」などで調整するようですが、難しそうですね・・・。
まとめ
明るい場所で長時間露光したければNDフィルターの重ね付けは必要ですが、時には色かぶりが起こってしまいます。
ただ、上手く補正できるようになれば問題なさそうです。