減光フィルターであるND400とND16を重ね付けして、日中の空で雲に動きを出すにはどのくらいのシャッター速度が必要なのでしょうか?
また、その際に長時間ノイズはどれくらい目立つのでしょうか?
今回、実際に撮影して実験してみました。
というもの、以前に海の波を被写体として長時間露光してみたのですが、私は海より断然山派です。
そして、山を被写体として撮影していると同じような写真になってしまうことが多々有ります。構図を工夫したり朝日や星空を狙ってみても、どこかで見たことあるような写真になってしまいます。
なので、長時間露光により雲に動きを付けることで撮影のバリエーションを増やしたいと思っています。
多分、「壮大な山並みにダイナミック感のある空」みたいな写真が撮影できるはずです。
ちなみに、長時間露光の撮影は海より空の方が断然難しかったです。
その前に
雲に動きを出すシャッター速度に関してですが、もちろんその日の雲の流れる速度によってこれは変化します。
なので、今回はあくまでも一つの目安でしかありませんので悪しからず。ただ、一度目安を定めておくと今後の撮影に役立つはずです。
ちなみに、当日の雲の流れは早くも遅くもなく普通でした。いつも見上げている雲です。
それと、長時間ノイズのについても確認しましたが、これもカメラの性能によって違いが出ます。なので、他の方の参考になるかは分かりませんが、こんなものなんだなと思って頂ければと思います。
ちなみに、NDフィルターを重ね付けして長時間露光すると、なぜか殆ど計算通りの明るさにならないし、ホワイトバランス!?カラーバランス!?も変になります(私の腕の問題かもしれません)。
なので、RAWで撮影し後処理で明るさやホワイトバランスやカラーバランスを調整する必要が有ります。今回も写真は全てRAW現像で明るさとホワイトバランスを調整しています。
では、まず始めにシャッター速度に関してです。
日中に雲を動かすシャッター速度
日中の雲に動きを出させるには、どれくらいのシャッター速度がちょうど良いのでしょうか?
こんな感じで試しました。のどか。
早速見てみたいと思います。
上はフィルター無しで撮影です。SS1/160秒です。
これはND16とND400の重ね付けです。SS15秒です。
これではまだ流れる動きと言うより、ぼやけた印象です。
これはND16とND400の重ね付けでSS30秒です。
SS30秒になると何となく動きが感じられます。なかなかよい感じです。
これもND16とND400の重ね付けでSS60秒です。
SS60秒でかなり動きが感じられます。写真の風景が微妙ですが、綺麗な風景でこの空ならダイナミックな感じが出て良いかもしれません。
最後はND16とND400の重ね付けでSS120秒です。
これは雲が流れ過ぎて逆に動いている感じが伝わらないです。立体感のないのっぺりとした曇り空みたいです。シャッター速度は長過ぎてもダメなんですね。
ということで、雲に動きが感じられるシャッター速度は、私的にはSS60秒ちょっとくらいが良いと思いました。
ただ、これは空模様や写真の意図よっても変わるので、あくまでも一つの目安です。
山頂でこんな空を撮影したいです。
次は長時間ノイズについて。
長時間ノイズについて
長時間ノイズとは「シャッター速度が長くなることで写真に出現する赤や緑の点(ノイズ)のこと」です。
詳しくは分かりませんが、原因はセンサーや電子回路が熱を持つためと言われています。しかも、長時間ノイズは後処理でも除去し難いと言われています。
今回のようにSS60秒やSS120秒で撮影すると長時間ノイズはどれくらい目立つようになるのでしょうか?そして、有効な対策はあるのでしょうか?
上の写真では小さくてわからないので、写真の一部を等倍に拡大して比べてみます。
まずはSS30秒の写真です。
風で草木が揺れていたので、モヤっとした印象ですが、ノイズは見られません。
次はSS60秒です。
よく見ると僅かに緑色のノイズがあります(写真中央付近)。しかし、まったく目立ちません。これなら私は気になりません。
最後にSS120秒の写真です。
SS120秒になると緑色のノイズが増え、さらに赤色のノイズも出てきています(スマホ画面だと小さくて分からないかもしれません)。
特に矢印の所に多くノイズがあります。
それでも等倍にしてみないと分からないレベルです。空の部分もノイズは少なかったです。D7200だと日中にSS120秒程度の撮影であれば、長時間ノイズはそれ程でないのかもしれません。
でももしかしたら、これで気になる人も居るかもしれませんね。あるいは、カメラの違いによりもっとひどく長時間ノイズがでる人も居るかもしれません。
そのような場合の対策としては、カメラの設定で「長秒時ノイズ低減をする」にすれば、かなり綺麗にノイズを取り除くことができます。
1枚目がただのSS120秒です。2枚目は「長秒時ノイズ低減をする」にしてSS120秒で撮影です。
このブログ上で判断できるかわかりませんが、私のパソコン画面では長時間ノイズはほとんど除去されていました。すごい効果です。
なので、長時間露光をするなら「長秒時ノイズ低減をする」にしたほうが良いと思います(私はSS30秒以上で設定しようと思います)。
「長秒時ノイズ低減をする」のデメリットとしては、撮影後に露出時間と同じ時間だけカメラの操作ができなくなることです。撮影に倍の時間が掛かります。でも、メリットの方が断然大きいと思います。
明るさ(露出)について
最後に些細なことですが、写真の明るさ(露出)について感じたことをまとめておきたいと思います。
例えば、「ISO100、F22、SS60秒」で撮影してた時に、F16に変えて同じ露出で撮影しようと思うと、シャッター速度を半分の30秒にして「ISO100、F16、SS30秒」とする必要があります。
ただ、RAWで撮影しておいて後で調整すれば、極端に明るかったり暗くなったりしない限り、同じ露出で撮影しなくてもほとんど問題はないと感じました。
下は「F22、SS60秒、ISO100」でJpeg撮って出しの写真です。
これをF16で撮影しよとすると、SS30秒にする必要がありますが、そのままSS60秒で撮影してみました。
当然、一段明るくなります。
ただ、RAWで撮影しておけば結果的に同じように調整することができます。
だいたい同じ露出になっているかと思います。もし、違っていてもRAWなら何度でも調整できます。
このことを通して何を言いたいかというと、それは絞り過ぎないで済むということです。
絞りは絞った方がシャッター速度を遅くすることができますが、絞り過ぎると「回折現象(絞りボケ)」が起こりシャープさが失われてしまいます。これは良くありません。
自分の個人的な基準で、F16までは絞っても「回折現象」は気になりませんが、F22はダメだと思っています。F16はまだシャープですが、F22で撮影すると急に甘い印象になると感じるのです。
そうすると、絞り過ぎないで済むということは「回折現象」を回避することができるのでメリットになります。わざわざF22まで絞って撮影しなくても、F16やF11で撮影して多少明るくなったり暗くなったりしても、後で調整すればよいのです。しかも、露出の調整は簡単ですが、ピントが甘くなったのをシャープに調整するのは難しいです。
ということで、これも状況によって違うのでしょうが、RAW現像で後処理を前提としておけば風景の撮影などでは露出にそれほどシビアにならなくてもよいのだなと今回の実験で感じました。
まとめ
長々と書いてしまいましいたが、まず「シャッター速度は60秒くらいを目安にする」、「長秒時ノイズ低減はあり」、「露出はそこまでシビアにならなくてもよさそう」というのが今回のまとめです。
実際にやってみないとわからないことがありました。NDフィルターを使用した長時間露光は思ったよりも難しかったので、今回は良い練習になりました。