最近、構図について考えることが多いです。
そして、構図作りで注目すべきポイントは様々あります。その中でも写真に遠近感を演出するというのは大切なポイントの一つです。
これに関して遠近法というものがあります。デザインをする人や絵を描く人なら詳しいかと。私は全く詳しくないですが調べてみると思った以上に様々な種類のものがありとても面白いです。
これらが写真にどれ程活かせるかは分かりませんが、きっと構図作りやレタッチの役に立つのではないでしょうか。
構図に役立つ様々な遠近法
線遠近法
線遠近法は最も馴染みある遠近法。透視図法とも呼ばれているようです。
これは消失点をもうけて空間がそこに収束する様子を画面上に表現します。消失点に近いものほど遠く見えることになります。
こういうやつです(消失点が一つなので一点透視図法)。
写真では放射構図として広く用いられていますね。
広角域を使うと作りやすい構図で簡単に奥行きが表現できます。ちなみに、消失点は画面の外でも可です。
また、消失点の数に応じて二点透視図法(下1枚目)、三点透視図法(下2枚目)というのもあります。
建物などを撮影する際には二点透視図法や三点透視図法を意識すると良さそうです。
また、リードライン(視線を導く線)を考える際も消失点を意識すると良いことがあるかもしれませんね。
空気遠近法
遠くのものは空気中の水蒸気やチリなどで霞んで見えます。
そのことから彩度やコントラストが弱いものほど遠くに見えるというのが空気遠近法です。また、遠くのものほど青味を帯びて見えたりもします。
展望台など見晴らしの良い場所で遠くを眺めると実感できますよね。
確かに遠くが霞んでいる方が遠近感が強調され壮大に見えます。
ただ写真の場合、もともとカメラは霞などに弱いものなので、空気遠近法の演出のために何かする必要は特別ないのかなと個人的には思います(遠景をちょっと青っぽくするとかは有りかもしれませんが)。普通に撮影すればそうなるよねという感じ!?
どちらかというと霞のないクリアな空気の方が喜ばれますよね。
色彩遠近法
色彩遠近法は色の持つ心理的な作用や視覚的な効果を利用した遠近法となります。
一般的に暖色系は手前に寒色系は後方にあるように見えるそうです。暖色系は手前に迫り出してくるような圧迫感を与え、一方、寒色系は後方に向かって吸収されていくように感じます。
見比べてみると確かに赤(暖色系)の方が手前側によってくる感じがしますね。青(寒色系)は奥側に下がっていく感じ。
ちなみに、手前にあるように見える色を前進色、後方にあるように見える色を後退色と言うそうです。
ということは、風景写真の場合だと手前側の風景を暖かな黄色味などを含んだ色味にし、遠くの風景を寒色系の青味などを帯びた色味にレタッチすると良いのかもしれませんね。
空気遠近法でも遠くは青味を帯びて見えたりするので組み合わせしやすそうです。
重畳遠近法
ものが重なっている際に前よりも後ろのものの方が遠くに見えるという遠近法です。
重なって後ろに隠れている方が遠い、すごくシンプルで当然の結果と言えます。
ただ、シンプルなものの方が活用するのが意外に難しく、かつ効果が高かったりします。
例えば、シューリップを重ね合わせることで奥行きを出す。
ものが重なることで遠近感が生まれる。
私の写真だと作例があまりないので引用します。
1枚目は木々が重なり合うことで前後の区別が付きやすく遠近感が生まれます。2枚目も灯篭が重なり合うことで暗い写真(要素が少ない写真)にも関わらず遠近感がしっかり感じられます。
重畳遠近法もうまく使えるようになると非常に面白そうですね。また、大小遠近法との相性も良さそうです。
消失遠近法
どこかに目の焦点を合わせると他の部分はぼやけて見えますね。これを用いるのが消失遠近法。
写真の場合だとピントを合わせた部分以外はボケるので普通に取り入れやすい手法ですね。
逆に言えば被写界深度合成して全体をパキパキにするとこれが失われてしまうかもしれません。遠近感という点においては背景は若干緩い方が良いのかもしれませんね。
大小遠近法
大きなものほど近く、小さなものほど遠くに見えるというのが大小遠近法。
近い白鳥は大きく、遠い白鳥は小さい。広角レンズを使うとこれが強調されやすいので遠近感が出やすいですね。
逆に望遠レンズの場合は圧縮効果が働くので大きさの差が出にくくなります。なので、大小遠近法には不利と言うことになりますね。ただ、これはこれで迫力が出ます。
上下遠近法
水平線・地平線に近いものほど遠く感じるというのが上下遠近法。
これは言われてみれば当然そうなるよなという感じですね。
写真でこれを何かに応用するとかは難しそうですが知っているに越したことはない。
まとめ
無意識のうちに感じているものでも、改めて言葉で説明してみると腑に落ちます!
これからは遠近法を意識して撮影に挑みたいと思います!