そろそろ雲海が見られるシーズンになってきました。
雲海って何度見ても感動します。ただ、撮影に行ったのに見られなかったということもしばしばありますね。
しかし、雲海の発生要因を知っていれば、撮影の成功率が上がるかもしれません。
今回は雲海の代表的な要因として、放射霧、移流霧、蒸気霧について解説したいと思います。
雲海は霧。では、なぜ霧が発生するのか!?
ご存知かと思いますが、そもそも雲海は霧を上から見た光景です。
地上では霧で真っ白な状況で、そこを高いところから見下ろすと雲海になっているというわけですね。
では、なぜ霧が発生するのか!?
これは空気が冷やされるためです。一部例外もありますが基本的には霧が発生するには、空気が冷やされることが絶対条件になります。
空気には水蒸気として水分が含まれており、暖かい空気の方がより多く水蒸気を保持できます(水蒸気は見えません)。
そして空気は冷やされると、それまで含んでいた量の水蒸気を保持できなくなります。保持できなくなった水蒸気は細かな水滴となります。この細かな水滴が霧というわけです。
と言うわけで、霧が発生するには空気が冷やされる必要がありますが、空気が冷やされる要因により、霧は放射霧、移流霧、蒸気霧と分類されます(他にもありますが、代表的な3つだけ取り上げます)。
放射霧、移流霧、蒸気霧について
放射霧
風が弱くてよく晴れた夜には、地面の熱がどんどん大気中に逃げいき、地表面付近の温度が下がります。 これが放射冷却です。
そして、放射冷却により地面付近の空気が冷やされることで、空気中の水蒸気が水滴となり霧が発生します。これを放射霧と呼ぶ。
こんなイメージですね。
内陸の山間部や盆地で早朝に発生する雲海は、放射霧を見ていることになります。
こうした雲海には放射冷却が必要なので、気候は快晴・無風が最適です。また寒暖差の激しくなる秋頃によく見られます。もちろん、湿度も大切で前日や日中に雨が降って湿度が高い状態がベストです。
ちなみに、放射霧は日の出後1~3時間くらいで消えて晴れるパターンが多い。
移流霧
暖かく湿った空気が、冷たい海面(または地表面)を移動するときに冷やされ、霧が発生することがあります。これが移流霧です。
こんなイメージですね。
夏に発生する海霧が移流霧の代表となります。北海道の東部で見られる雲海(津別峠の雲海など)は移流霧であることが殆どです。ちなみに、移流霧は濃密で長続きする傾向にあり、時には昼間になっても消えないこともあります。
上記した通り、移流霧には暖かく湿った空気が、冷たい海上(または地表面)へ移動することが必要です。なので、風向きが非常に大切。
北海道の東部の雲海であれば南方からの風が必要です。
暖かい空気を運ぶ南風が釧路沖の冷たい親潮で冷やされるわけですね。
ちなみに風が強いと、霧が拡散して散りじりになったり、舞い上がって飲まれてしまうこともあるので、強風は適しません。
蒸気霧
暖かい海面上に接する空気は、その海面により暖められており、水分も多く含まれています。
そこに冷たい空気が流入すると、暖かい空気が冷やされることになり、霧が発生します。これが蒸気霧です。
こんなイメージですね。
梅雨期に関東から東北地方の太平洋沿岸では、東北の冷たい風が吹きやすく、ここで発生する霧は蒸気霧の代表です。
このように霧が押し寄せるのですね。
蒸気霧も移流霧と同様に、風向きが大切で、強風は適しません。
雲海を見るために
雲海は一つの要因だけでなく、複合的な要因で発生することも多いです。
しかし、雲海の名所的な場所では、発生要因がはっきりしていることが殆どです。なので、それが放射霧なのか、移流霧なのか、蒸気霧なのか調べましょう。
その上で、天気予報やGPV(SCW)で条件を満たす天候・風向き・湿度なのか調べます。
参考:よく当たる天気予報はGPVやSCW!GPVとSCWの違いと使い方。雲海を予測してみよう。
このようにすれば雲海を撮影する確率はグッと上がるでしょう。
まとめ
初めて雲海を見た時の感動は今でも忘れられません。特に美幌峠や津別峠の雲海は、私が見てきた中でもトップクラスの絶景です。