Photoshopの使い方

Photoshopのスマートオブジェクトとは!?スマートオブジェクト活用して効率よくレタッチしよう。

投稿日:2021年11月17日 更新日:

この記事ではPhotoshopにおけるスマートオブジェクトについて解説しています。

スマートオブジェクトはPhotoshopを使い始めたばかりの方には分かりにくいかもしれません。しかし、分かると非常に便利です。

Photoshopのスマートオブジェクトとは!?

スマートオブジェクトは「画質が劣化しないレイヤー」と説明されることがあります。それは間違いではないですが、正確な説明ではありません。

では、スマートオブジェクトが何かというと「すべてのデータ特性と、元画像の情報を保持したレイヤー」です。ちょっと分かりにくい説明なので、解説していきましょう。

通常の画像レイヤーだと、縮小して拡大すると画質が劣化します。一方で、スマートオブジェクト化した画像レイヤーなら、縮小と拡大を繰り返しても画質が劣化しません。

通常の画像レイヤーは縮小すると、画素(ピクセル)が間引かれ減少します。そして、それを再び拡大すると、減った画素(ピクセル)を引き延ばすことになるので、ボヤけたように画質が劣化してしまうわけです。

しかし、スマートオブジェクト化した画像レイヤーなら、元画像の情報を保持できるので、縮小しても画素(ピクセル)を失いません。なので、縮小と拡大を繰り返しても画質が劣化しない。ゆえに、「画質が劣化しないレイヤー」と説明されるわけですね。

画素(ピクセル)について詳しくは下の記事を参考にしてください。
参考:Photoshopで解像度とサイズを適切に設定する方法。「ディテールを保持 2.0」と「スーパー解像度」について。

 

次に、スマートオブジェクトにより保持されるのは、画素情報だけではありません。編集データも保持されます。

例えば、通常の画像レイヤーだと変形した後に、再び変形しようとすると、前のデータは残っていません。

15度回転させましたが、再び回転させようとすると、0度になっています。

しかし、スマートオブジェクト化した画像レイヤーなら、前の編集データが保持されます。

15度回転させた後に、再び回転させようとすると、以前回転させた15度と表示されています。

このように、スマートオブジェクトでは編集データも保持されます。後述しますが、これは様々なレタッチに活用可能です。

スマートオブジェクトへの変換方法

レイヤーパネルにてスマートオブジェクト化したい画像レイヤーを選択し、メニューバーの[レイヤー] 、 [スマートオブジェクト] 、 [スマートオブジェクトに変換] です。

これで画像をスマートオブジェクトにすることが可能です。

スマートオブジェクト化すると、レイヤーサムネイルの右下にマークが表示されます。

ちなみに、Photoshopに画像を読み込んだ時点で、スマートオブジェクト化されている場合もあります。

では、スマートオブジェクトを使ったレタッチ方法を確認していきましょう。

スマートオブジェクトを使ったレタッチ方法

スマートオブジェクトは難しい印象ですが、要領を知ればとても便利な機能となります。

Camera Rawなどのフィルター

まず、Camera Rawなどのフィルターを非常に便利に使えるようになります。

Photoshopにはシャープネスをかけたり、ボカしたりする「フィルター」と呼ばれる機能があります。また、Camera RawフィルターというLightroom的な操作感で編集できるフィルターもある。

通常のレイヤーでフィルター機能を使うと、フィルター適応後にやり直しが効きません。これがとても不便。しかし、スマートオブジェクト化すれば、編集データが保持されるので、何度でもやり直しが効きます(これをスマートフィルターという)。

上画像のように「スマートフィルター」内にデータが保持されるので、これをダブルクリックすれば何度もやり直しが効きます。非常に便利です。

もちろん、様々なフィルターを追加して使えます。

色調補正

次に色調補正です。

レイヤーパネルにてスマートオブジェクト化したレイヤーを選択した状態で、オプションバーから [イメージ] 、 [色調補正] を選択します(色調補正パネルからではありません。調整パネルからでは調整レイヤーになるので)。

ここから好きな調整項目を選択します。

そうすると色調補正もスマートフィルター内に情報が保持されます。

このような感じですね。レベル補正、トーンカーブ、色相・彩度などが表示されています。これをダブルクリックすれば再編集可能です。

大きな特徴として、ここでの色調補正はスマートオブジェクトにのみ適用されます。下のレイヤーには影響を及ぼしません。

色調補正パネルから調整レイヤーを使うと、調整レイヤー以下の全レイヤーに効果が適用されるので、この点で効き方が違います。調整レイヤーでクリッピングマスクを使用する感じに似ている(クリッピングマスクについては別記事にてまとめます)。

この方法と調整レイヤーのどちらを使うか、シーンに応じて使い分けると良いですね。

 

ちなみに、スマートフィルターにもマスクを使用できますが、マスクはすべてのスマートフィルターに適用されます。個別のスマートフィルターをマスクすることはできません。

調整レイヤーは個別にマスクを使えるので、調整する目的に合わせて両者を使い分ける必要があるでしょう。

スマートオブジェクトのデメリット

非常に便利なスマートオブジェクトですが、デメリットもあります。

データ重い

まず、データが重くなります。

スマートオブジェクトを使いあれこれ補正をすると、PCのスペックによっては動きがもっさりしてくるでしょう。また、保存したデータも重くなります。

解決策としては、ラスタライズすれば、保持した情報は消えますがデータは軽くなる。ラスタライズについては下で書いています。

レイヤーを直接編集できない

スマートオブジェクト化したレイヤーを直接編集することはできません。

例えば、修正ブラシツールなどでゴミを取ったり、あるいは覆い焼き・焼き込みツールなどが使えません。スマートオブジェクト化したレイヤーを直接編集しようとすると、以下のような警告が出ます。

「続行する前に、このスマートオブジェクトをラスタライズする必要があります。コンテンツを編集を続行できません。スマートオブジェクトをラスタライズしますか?」と表示されています。

ラスタライズとは簡単に言うと、スマートオブジェクト化したレイヤーから普通のレイヤーに戻すことです。

表示されたけ警告で [OK] をクリックすると、ラスタライズされ直接編集が可能になります。ただし、ラスタライズすると保持した情報が消えるので、スマートフィルターなども消えます(結合される)。

ラスタライズすると、このように消えてしまう。

 

ちなみに、スマートオブジェクト化したレイヤーを編集する、もう一つの方法があります。

まず、スマートオブジェクトにしたレイヤーのサムネイルをダブルクリック、そうすると別のデータとして元画像が新たに開かれます。

この元画像のデータはスマートオブジェクトになっていないので、修正ブラシや覆い焼き・焼き込みツールなどでも自由に使うことが出来ます。

ここで編集して保存すると、先ほどまで編集していたデータ(スマートオブジェクト化したレイヤー)にも反映されます。

試しにこの方法で修正ブラシツールを使うと、ちゃんと「島」が消えました。

スマートオブジェクトの解除方法

データが重いなどの理由で、スマートオブジェクトを解除するには、スマートオブジェクト化しているレイヤーを選択した状態で右クリック、 [レイヤーをラスタライズ] を選択します。

これでスマートオブジェクトを解除できます。

あるいは、メニューバーから[レイヤー] 、 [ラスタライズ] 、 [スマートオブジェクト] でも良いです。

すでに上記しましたが、ラスタライズすると通常のレイヤーに戻ります。なので、保持していたデータ(スマートフィルターなど)が消えてしまうので注意です。

ちなみに、ラスタライズした画像を再びスマートオブジェクト化することはできます。ただし、以前保持していたデータが戻ることはありません。

 

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まとめ

  • スマートオブジェクトは、すべてのデータ特性と、元画像の情報を保持したレイヤー
  • スマートオブジェクト化すると縮小拡大による画質劣化がない
  • スマートオブジェクト化すると、やり直ししやすくなる
  • ただし、データが重い、直接編集できないなどのデメリットも
  • ラスタライズすると通常のレイヤーに戻せる

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