少し前に「ISO Invariance(ISO不変性)」と言う単語が話題になったことがありました。ご存知ですか!?
ISO Invariance(ISO不変性)が何かは後記しますが、星景写真を現像している際に私も「ISO1600もISO3200もISO6400も結局似たような画質になるな」と思ったことがあります。
こう言った疑問は自分で実験してみるのが一番です。今回はISO Invariance(ISO不変性)についてあれこれ書いてみたいと思います。
目次
「ISO Invariance(ISO不変性)」とは!?
簡潔に言うと「ISO Invariance(ISO不変性)」とは「F値とシャッター速度が同じ場合、ISO100もISO6400も同じ画質になる」と言うものです。
もっと詳しくご説明すると、例えば星空を撮影する時にカメラの設定をF2.8、シャッター速度20秒、ISO6400で撮影するとします。割と標準的な設定なのでこれで星空を撮影しているという方も少なくないはずです。これで綺麗に星空を撮影できます。
もしここでF値とシャッター速度を変えずにISO感度だけをISO100にしたらどうなるでしょうか!?
ご存知の通り結果は露出不足になり真っ暗な写真になりますね。ただ、それをLightroomなどで露出を上げて明るくするとISO6400で撮影した場合と同じ画質なると言うのです(画質とはノイズ量、シャドーとハイライトのディテールについてです)。これがISO Invarianceです(ISO lessとも言うらしい)。
ただし、すべてのカメラでISO Invarianceが成り立つと言われてる訳ではありません。ニコンならD750やD810、D7100、D5500、ソニーならα7RⅡなどがこれに当たります。キヤノンのカメラには無いみたい。
本当かなと言う感じですが、もう少しISO Invariance(ISO不変性)について考えてみます。
※上記した通りISO InvarianceはISO感度だけを変えた時にのみ成立します。当然に絞りやシャッター速度を変えた場合はノイズ量に変化が現れます。また、RAWで撮影時のみです。
「ISO Invariance(ISO不変性)」のメリット
そもそもISO Invarianceに何のメリットがあるのでしょうか!?
場合よっては一部のノイズを減らせる
画像の一部だけを明るくして他は暗いままにしたいと言う場合にノイズを低減させることができます。
低感度で暗く撮影してレタッチする時に部分マスク等を使い必要のある部分だけ明るく持ち上げれば、他の部分のノイズを減らすことができます(明るくした部分にのみノイズが乗る)。
高感度で撮影すると写真全体にノイズが乗ってしまいます。
ハイライトを飛ばさない
夜間の撮影では高感度で撮影すると街明かりなどのハイライトが飛んでしまうことがあります。暗い部分を適正露出にしようとすると明るい部分が飛んでしまいますね。
低感度で暗く撮影し後でレタッチで明るくすればハイライトを飛ばさずに写すことができます。
設定に悩まない
星空を撮影していると「ISO3200が良いのか、ISO6400が良いのか、それとも他か」と感度の設定に迷うことがしばしばあります。不用意に高感度にし過ぎて失敗することもあります。
しかしながら、ISO Invarianceが成立しているならばこれは不要な悩みとなります。
低感度でも高感度でも画質が変わらないのなら、とりあえず低感度で撮影しておいてレタッチで調整してあげれば良いだけです。便利ですね。
熱ノイズに差が出る!?
これは私の予想ですが熱ノイズにも変化が出るかもしれません。
同じシャッター速度でも低感度よりも高感度の方がセンサーに熱が生じやすいと言われていますね。
そうすると低感度で撮影してレタッチで明るくする方が、最初から高感度で明るく撮影する方よりも熱ノイズが抑えられるのではないのかと思います。
これはどうだか分かりませんが・・・。
以上がISO Invarianceのメリットと考えることができます。では、実際にISO Invarianceは成立するのでしょうか!?
「ISO Invariance」は成立するか実験
実験方法
本当は星を撮影すれば良いのですが、曇り続きなので室内で撮影します。
撮影にはD750を使用です。D750はISO Invarianceになるカメラと言われています(撮影はRAW)。
F11、SS1/4秒で固定、ISO感度のみISO6400、3200、1600、800、400、200と変えて撮影します。当然、低感度になるにつれて暗くなります(ホワイトバランスは太陽光で固定)。
それで撮影した画像を並べるとこんな感じ。
左上がISO6400で右下がISO200になります。ISO200の画像はほぼ黒の写真です。
次にLightroomでEV+0、EV+1、EV+2、EV+3、EV+4、EV+5して明るさを統一させます(他はいじりません)。
こんな感じ。
左上がISO6400でEV+0、右下がISO200でEV+5になります。見事に同じ明るさになるものですね。
余談ですが右下のEV+5した画像は驚異の復元力です。
真っ黒な画像でもEV+5するとちゃんと写っているのが分かります。さすがニコンD750・・・。
次に、これで画質(主にノイズ)を比べてみたいと思います。
比較画像
それぞれの画像を等倍にして比較してみます。
いかがでしょうか!?
これだと分かりのにくいので「ISO200でEV+5した画像」と「ISO6400でEV+0の画像」を比較してみます。
まずノイズの量はSO200でEV+5した画像の方がやや多いと私は感じます(ノイズがより荒い!?)。
さらに全体的にISO200でEV+5した画像はグリーンっぽい色被りをしています(スマホでは分かりにくいかも)。特に暗部(雲台の部分)の色被りがやや強く、黒の締まりも弱くなっている感じがします。
一方で「ISO1600でEV+2した画像」と「ISO6400でEV+0の画像」ならほぼ画質的に変わらないようです。
殆ど違いは感じられません。ノイズも同程度で色被りの変化も無いようです。
と言うことで結果は以下のようになりました。
実験結果
今回の実験ではISO Invariance(ISO不変性)は完全には成立しないようです(D750での話で他のカメラは不明ですが)。
おそらくですが、今回の画像のようにISO200やISO400などの低感度で撮影し殆ど黒つぶれ状態になったデータではLightroom等で補正しきれないようですね。
一方で、「ISO1600でEV+2」や「ISO3200でEV+1」した画像のように黒つぶれしていないデータの範囲であれば画質的に同レベルに補正できるようです。
結局は適正な露出となるようISO感度はしっかり上げた方が良さそうですね。
そもそもノイズを少なくするにはセンサーにできるだけ光を当てるに尽きます。そのためにはISO感度に頼るのではなく絞りやシャッター速度でカメラに光を取り入れるのが肝心です。
例えば「F2.8、SS20秒、ISO6400」と「F2.0、SS20秒、ISO3200」では同じ露出となりますが、これは後者の方が画質的に良い結果となります。暗い場所では明るいは正義です。
まとめ
何となく疑問に思っていたことが分かってスッキリしました!
ISO Invariance(ISO不変性)が確実に成立するのなら撮影も楽なんですけどね:)
機材の相談をさせていただきます。
来年の3月に新しくカメラを購入予定です。
・α7RIII
・FE 24-105mm F4 G OSS
は決定ですが、広角レンズをどれにするか迷っています。
・FE 12-24mm F4 Gか
・FE 16-35mm F2.8 GMか
・FE 16-35mm F4 ZA OSSの三択です。
画角重視で12-24を選ぶか、明るさ重視で16-35 F2.8を選ぶか、
予算重視で16-35 F4を選ぶかとても迷っております。
色々なものをカメラに収めたいです。
重さはどれも700g以下で許容範囲なので大丈夫です。
フィルターについては角形フィルターを使います。
wise camera様のおすすめをお教えください。
α6000 loveさん
ご相談ありがとうございます:)
広角レンズで悩まれているのですね。まず、何を撮りたいかによります。
もし、星空の撮影に興味がある、もしくは将来的に興味が出てくるかもしれないのなら、FE 16-35mm F2.8 GMの一択だと思います。
ちなみに、私はニコン16-35㎜F4を購入し(その時は星には全く興味がありませんでした)、その後に星を撮るためにニコン14-24㎜F2.8に買い直した経験があります。
もし、星を撮る可能性が全くないのならF4のレンズになります。
果たして12㎜もの超広角を使う機会があるのかは疑問ですが(私は広角が好きですが14㎜でさえそれ程使う機会は多くありません)、FE 24-105mm F4 G OSSとの組み合わせから画角の被らないFE 12-24mm F4 Gが良いのかなと思います。
ただ、FE 16-35mm F4 ZA OSSも使いやすくて便利な画角ですよね・・・。