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サムヤンXP14mmF2.4とシグマ14mmF1.8で星撮りレビュー。どちらが最強の星景レンズなのか!?

投稿日:2020年1月28日 更新日:

星景撮影用の超広角レンズで人気の高いサムヤン14XPmmF2.4シグマ14mmF1.8

どちらを買おうか悩まれている方も多いのではないでしょう!?

今回は、星の撮影に焦点を当ててサムヤン14XPmmF2.4とシグマ14mmF1.8を比較レビューをしてみたいと思います。

ちなみに、サムヤン14XPmmF2.4はケンコートキナーさんにより使わせて頂いている状況です。

星景用レンズで注目すべきポイント

今回は3点に注目しレンズの比較をします。

  • 携帯性(大きさ重さ)
  • 星像(収差の程度)
  • 周辺減光・歪み

まず、レンズの大きさ重さです。やはり軽いは正義。特に星景撮影だと徒歩移動も多いかと思うので、軽量コンパクトで携帯性に優れた方が良いです。

次に、星像です。つまり星を撮影した時の収差の程度。特に明るい広角レンズだと、周辺部の星が翼を広げたように変形します。些細なことかもしれませんが、これがかなり気になる。個人的には最も大切なポイントです。

最後に、周辺減光と歪みです。これも無い方が良い。特に、周辺減光はレタッチで星を強調処理した際に一緒に強調され目立ちますし、取り除くのも割と手間です。

ちなみに、先に結果をさらっとまとめると、このようになりました。

サムヤンXP14mmF2.4 シグマ14mmF1.8
携帯性 ×
星像
周辺減光・歪み

 

では、早速これらの点に注目しサムヤン14XPmmF2.4とシグマ14mmF1.8を比較レビューしたいと思います。

星空撮影でサムヤン14XPmmF2.4とシグマ14mmF1.8を比較レビュー

携帯性(重さ大きさ)について

サムヤンXP14mmF2.4 シグマ14mmF1.8
重さ 791g 1120g
大きさ 95㎜ × 109.4㎜ 95.4㎜ × 126㎜

大きさを比較してみるとこんな感じ。

サムヤン14mmF2.4の方が一回り小さい。重さについてはサムヤンが329gも軽いです。

サムヤン14mmF2.4も791gと単焦点レンズにしては重いですが、さらにシグマ14mmF1.8は1120gで巨大なガラス塊です。

出玉の具合を見てもシグマ14mmF1.8の方が迫力がありますね。サムヤン14mmF2.4はまだ穏やか。

ただし、シグマの方が開放F1.8、サムヤンが開放F2.4なので、およそ1段の違いがあります。また、シグマはAFレンズ、サムヤンはMFレンズになります。

そういったスペックの違いはありますが、サムヤンの方が携帯性は高いです。

星像(収差の程度)について

上のような星空を撮影し、右上隅を拡大比較したいと思います(カメラはZ6)。

まずは、F2.4での比較です。サムヤン14mmF2.4では開放F値、シグマ14mmF1.8ではおよそ1段絞った状態になります。

他の設定はISO6400、SS10秒、ホワイトバランスは5100Kで固定、またRAWで撮影しLrにて同じ設定で書き出しています。ちなみに、ノイズはスタックにてある程度は処理している。

では拡大比較です(F2.4同士)。


シグマの方は星に翼が生えたように星像が変形しています。恐らくこれは非点収差です。

一方で、サムヤンの方は非点収差は抑えられています。ただし、星がやや外側に向かって、彗星の尾ように伸びています。SS10秒で撮影している影響もありますが、コマ収差の影響もあるのかと思います。

さらに、シグマは中央部のシャープさに比べ、周辺部がやや緩く写ります。これは像面歪曲が強いのだと思う。スマホで見るくらいなら気になりませんが、PCで見たり、大きめにプリントすると割と周辺部の緩さが目立ちます。それに比べサムヤンは中央部と周辺部での差が少なく、画面全体で均質性が高い。
参考:収差とは?サイデルの5収差って何だ。

シグマも決して悪くはありませんが、総じてサムヤンの方が収差はやや抑えられているようです。

 

次に、F2.8に絞って比較。他の設定は上と同じです。


シグマはF2.4の時よりも改善し、非点収差は少なくなっています。それでもまだやや羽が生えているように見えます。

サムヤンはF2.8に絞っても、F2.4の時とほぼ変わらないように見えます。彗星の尾のようにコマ収差はそのままです。

F2.8同士になると収差の種類は違うものの、程度は同じくらいに感じます。ただし、シグマは像面歪曲の影響により、周辺部が少し緩く感じます。サムヤンは中央部と周辺部の均質性が高く、周辺部の緩みが少ないです。

 

結果的にはこのようになりました。

サムヤンXP14mmF2.4 シグマ14mmF1.8
非点収差の少なさ
(羽のような変形)
×
コマ収差の少なさ
(彗星の尾のような変形)
×
像面歪曲の少なさ
(周辺部の緩み)
×

発生する収差の種類が違うのは意外でした。

総じてこれはサムヤンに軍配が上がるように思います。ただし、差は大きくはありません。

周辺減光・歪み

まず、周辺減光・歪みについては正確に比較できませんでした

というのも、Z6とシグマ14mmの組み合わせで使うと、内蔵プロファイルが勝手に付与され、周辺減光と歪みが補正されるようです。Lrなどでは外せません。

一方で、Z6とサムヤン14mmとの組み合わせでは、内蔵プロファイルは付与されずに、周辺減光と歪みはそのままでした。

なので、正確に比較できません。それを考慮した上での比較です。

 

では、F2.4同士で比較します。他の設定はISO6400、SS10秒、ホワイトバランス5100K固定です。


当然、内臓プロファイルで補正されているシグマの方が周辺減光が少なく、歪みも穏やかです。同じF2.4、ISO6400、SS10秒で撮影していますが、サムヤンの方が周辺減光の影響のためか、全体的にやや暗く見えます。

気になるのがホワイトバランスです。カメラで5100Kに固定しているのに、サムヤンは黄色味がやや強いです。純正Zレンズと比較しても、サムヤンは黄色味がかって写る傾向にあります。これは原因はわかりません。

 

以上、内蔵プロファイルの影響で正確に比較できませんでしたが、以前D750でシグマ14mmを使っていた時のことを思い出すと(D750では内蔵プロファイルが付かない)、やはりシグマは周辺減光が少なく、歪みも抑えられていました。

なので、結果はこうです。

サムヤンXP14mmF2.4 シグマ14mmF1.8
周辺減光・歪み

シグマは超広角で明るいレンズにしては、周辺減光や歪みが特に少ないように思います(内蔵プロファイルがなかったとしても)。

一方で、サムヤン14mmはシグマ14mmと比較すると、周辺減光や歪みの程度は大きいと感じる。ただし、Nikon14-24mmF2.8などと同レベルだと思います。

サムヤンXP14mmF2.4とシグマ14mmF1.8の比較結果

結果的に上記しましたが、このようになります。

サムヤンXP14mmF2.4 シグマ14mmF1.8
携帯性 ×
星像
周辺減光・歪み

甲乙つけ難い感じですが、携帯性を重視するならサムヤンでしょう。

 

SAMYANG 単焦点広角レンズ XP 14mm F2.4 マニュアルフォーカス ニコンF AE用 電磁絞り対応 フルサイズ対応

開放での収差の少なさもポイントが高いです。あと価格的にシグマよりもコスパが良い。

周辺減光や歪みの少なさ、寒色系の色合い、あるいは国産メーカーが良いのならシグマ。

 

SIGMA 単焦点超広角レンズ Art 14mm F1.8 DG HSM ニコン用 フルサイズ対応

重いですが、14mmの超広角で開放1.8の唯一無二のレンズです。

日中の撮影では!?

ついでに、日中での写りについても簡単に比較してみます。

まずは、解像力についてです。

このような写真を撮り、中央部を拡大し比較します。

F値はF5.6、ISO100にしています。RAWで撮影しLrにて同じ設定でJPGに書き出しています。

では比較。

ブログ上では分かりにくですが、ほんの僅かにシグマの方がスッキリ写っています。

画面中央部はシグマの方が少し解像するようです。

 

次に、四隅付近を比較してみます。

このような写真を撮り、左下を拡大し比較します。

F値はF5.6、ISO100にしています。撮影はRAWでLrにて同じ設定でJPGに書き出しています。

では比較。


これはサムヤンの方がよく写っています。やはり、シグマは像面歪曲(中央部と周辺部でピント面が違う)が大きめなのでしょうか。

まとめると、解像力についてシグマは中央部は高いものの周辺部はやや落ちるサムヤンは中央部はシグマほどではないが周辺部でも解像力は低下しにくい、といった感じになるようです。

ちなみに、逆光耐性につてはサムヤンは強くはありません。晴れた日の太陽を撮ると、緑や赤の派手めのゴーストが発生します。今まで使った広角レンズで考えると、「Z14-30mmF4 >> シグマ14mmF1.8 > Nikon14-24mmF2.8 > サムヤン14mmF2.4」といった逆光耐性の強さになるかと思います。

 

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まとめ

以上、サムヤンXP14mmF2.4とシグマ14mmF1.8で星撮りレビューでした!

なかなか甲乙つけ難いレンズでした。予算や好みで選ぶしかないですね・・・。


  1. 稜線を渡る風 より:

    いつもも興味深く拝見しています。
    昔から星撮り用にサムヤン14F2.8を使っていました。
    F2.4が発売された後(ケンコーが代理店になる以前)、すぐに追加購入いたしましたがグリーンの色が強く出るのであまり使わなくなり、防湿庫の中で眠っています。
    最近はほとんどの場合軽いし、色むらもあまりないF2.8を使っています。
    どうなんでしょうか、星撮りに使った時、このような現象は無かったでしょうか
    尚、カメラは6Dの改造カメラです。

    • ワイズカメラ より:

      稜線を渡る風さん

      Z6との組み合わせでは、黄色に被ることが多いですが、今のところグリーンには被っていないようです。
      ただ、まだ使ったシーンが限られているので、さらに使い込んでみないと分からない点でもあります。

  2. kuwa_yama より:

    言うまでもないとは思いますが、星景写真の場合、周辺減光のレベルはかなり気になります。
    ”Z6とシグマ14mmの組み合わせで使うと、内蔵プロファイルが勝手に付与され、周辺減光と歪みが補正されるようです。Lrなどでは外せません。”とのことですが、Lr Classic はお使いではないのですか?

    • ワイズカメラ より:

      kuwa_yamaさん

      Lr Classicを使っています。
      適用された内蔵プロファイルは外せないと思っていたのですが、外せるのですか!?

      調べると、ある手順を踏めば外せるようですが、面倒そうなので諦めていました。

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