高感度で撮影するとノイズが出るのはよく知られていますが、その他にダイナミックレンジが狭くなるということを耳にしたことのある方も多いかと思います。その結果レタッチ耐性もなくなるとか。私も一応知ってはいました。
ただ、実際のところこれは本当なのか!?あるいは、どの程度なのか!?
とうことで、自分で検証してみました。
ちなみに、ダイナミックレンジについてはこちらを参考に:ダイナミックレンジとは!?ダイナミックレンジを最大に活用して上手く撮影!
高感度とダイナミックレンジについて
今回、カメラはNikonD750を使用します。
ちなみに、高感度耐性やダイナミックレンジはカメラの機種によってある程度違いが出ます。なので、今回の結果は他のカメラでもそのまま当てはまるとは言えません。
とは言うものの、概ねどのカメラも似たような傾向にあるのだと思います。
検証方法
検証方法は単純です。
まず、カメラの設定でマイナス5EVに露出補正し、ISO感度をISO100、400、800、1600、3200、6400と変えて6枚撮影します(F値固定でシャッター速度を変えます。またRAWで撮影)。
マイナス5EVだとこんな感じの露出アンダーな画像になります。このような真っ暗な画像をISO感度を変えて6枚撮影していきます。
次に、それぞれの画像をLightroomにてプラス5EVに露出補正しJpegで書き出します(他の設定はLrのデフォルトのまま)。
マイナス5EVで撮影して、現像でプラス5EVしているので適正露出(±0EV)になっています。
これを比較してみます。
検証
では早速、上からISO100、400、800、1600、3200、6400で画像を並べてみたいと思います(WBはK5300で固定して撮影)。
ISO100の画像はプラス5EV補正したことが分からないくらい綺麗です。一方で、ISO感度が高くなるにつれて全体が赤っぽく変色しています。特に、なぜか画像下側がより赤っぽいですね(これは熱カブリの影響!?)。
ノイズについては高感度ノイズ自体の差もありますが、それにしてもISO1600やISO3200、ISO6400の画像はノイズが乗り過ぎです。劣化によるノイズが加わっているのだと思います。
参考:高感度ノイズ、長時間ノイズの原因と対策!ザラザラやカラフルな点々はノイズ!
どの画像も同じようにマイナス5EVで撮影し現像でプラス5EVしているのにこのような違いが出るのは、やはりISO感度が高くなるにつれてダイナミックレンジが狭まり、画像が劣化しやすくなっているのが大きな要因になっているのだと考えられます。
もう少し画像を比べてみます。
今度は上から「ISO100で元から適正露出で撮影した画像(①)」、「ISO6400で元から適正露出で撮影した画像(②)」、「ISO100でマイナス5EVで撮影し現像でプラス5EVした画像(③)」、「ISO6400でマイナス5EVで撮影し現像でプラス5EVした画像(④)」を等倍で拡大し比較してみたいと思います。
①が綺麗なのは当然ですが、ISO6400でも元から適正露出で撮影した画像(②)は多少ノイズはあるもののそれなりに綺麗です。レタッチすればもっと綺麗になるはず。さすがフルサイズ機。
また、現像でプラス5EV補正した画像でもISO100であれば広いダイナミックレンジが活かされそれなりに綺麗です(③)。やや赤カブリしているようですが②と③は大差ありません。さすがD750。
一方で、ISO6400でプラス5EV補正した画像(④)はノイズが酷いです。補正に耐えられずかなり劣化しノイズが出ています(ノイズが強調された感じ)。やはり高感度ではレタッチ耐性がガタ落ちするようですね。あと、色が抜けてスカスカな印象。単純にノイズが多いだけではないようです。フルサイズ機とはいえ限界があります。
ちなみに、計算上では①はISO100、F8、SS1/1秒、②はISO6400、F8、SS1/60秒、③はISO100、F8、SS1/30秒、④はISO6400、F8、SS1/2000秒になります。絞りはF8で固定なので、シャッター速度に注目すると①が最も長くセンサーに光が当たっている(光量が多い)、②と③はちょっと違うだけ、④が圧倒的に短い(光量が少ない)です。これがこの結果に影響しているのかもしれません(①が最も高画質、②と③は似た感じ、④が圧倒的に劣化している)。光量こそ正義。
結果
高感度で撮影し大きく補正した画像は、色が赤っぽく変色し、ノイズも増えるようです。また、色も褪せたようにスカスカになりやすい。やはり高感度の画像はダイナミックレンジが狭く、レタッチ耐性が弱いのは明らかでした。
とはいえ、今回はプラス5EVという激しい補正をしてしまいましたが、ちょっとくらいの補正なら大丈夫そう。問題なのは高感度で撮影した画像の大きな補正です。
ただし、いずれにせよ高感度を使わなくて良い場面では低感度が基本ですね。また、高感度を使う必要がある時は露出アンダーにならないようしっかり露光するのが大切なポイントです。
そもそもISO感度というのはセンサーが受けた光の信号を増幅させる機能です。例えば、ISO100、F11、SS1/80秒とISO6400、F11、SS1/2500秒ではセンサーに当たる光量が前者の方が5倍多いです(シャッター速度が5倍長いので)。後者はこの差を感度で増幅させて埋めている訳です。そうして考えた場合、前者の方がセンサーに当たる光量が多い分、レタッチに強い上質な!?データを得られるのだとも推測できます。光量は大切。定かではありませんが。
ちなみに、星景写真などで地上景をちょっと明るく持ち上げただけで、赤っぽく変色することがありますよね。これは前景が暗いことによる露出不足、そこに高感度撮影によるダイナミックレンジの縮小が加わり、画像のレタッチ耐性がガタ落ちしているのが一因だと考えられます(熱カブリも考えられる)。カメラの性能的に仕方ない部分もありますが、地上景別撮りなどすればこれもかなり解消できるはずです。
まとめ
高感度で撮影した画像はダイナミックレンジが狭く、レタッチ耐性も劣ることが改めて分かりました!
ただ、高感度は手ブレや被写体ブレを防止できたり、星のような淡い光を捉えられるので撮影の強い味方です!その弱点をしっかり理解した上で使いたいですね!
おもしろかったです!自分のブログでもちょっとまとめてみたのですが、ISO感度を上げるという事は、撮像素子にあたった光を増幅する作業です。なので、仮にISO 3200で撮像した画像を5段上げて適正露出しにした場合と、ISO 100で撮影し5段上げて適正露出にした場合ですと、そもそも撮像素子が受けた光量が全然違うので、そこが一番結果に響いていると考えますが、いかがでしょうか!?
要はISO 3200で適正露出の5段下ということは撮像素子の露光量は相当少ないので、超強引な増幅になると思うのです。
よろしければ御参考に♪
http://tatsumo77.hatenablog.com/entry/2018/10/08/173736
tatsumoさん
コメントありがとうございます!
なるほど!光量の差が大きな要因かもしれませんね!!
勉強になります:)
ちょっと内容追記させていただきました!!
やっとフルサイズの1600万画素機を入手したので、4240万画素機との
違いを確かめたいと思っていたところです。
一番の期待は、階調性とレタッチの違いを感じられるかどうかですね。
mickeyさん
コメントありがとうございます!
フルサイズの1600万画素はやばそうですね!
かなりコクのある色が出そうですね、そういのも使ってみたいなと思います:)
2と3を比較すると、3のほうがノイズが少ないものの赤被りが目立ってくるんですね。
私はあとから現像で何段も持ち上げるぐらいなら最初からISOを上げて撮ったほうがいいと考えていましたが、そうとも言い切れないのですね。興味深いです。
ゼッドさん
コメントありがとうございます!
微妙に3の方がノイズが少ないように感じました。これも場合によるかともいますが、とにかくセンサーに当たる光が多い方が良い傾向にあると言うのが、今のところの結論となっています!