現像・レタッチ

雲海と朝日を現像してみよう!優しい光に包まれた真冬の雲海を現像する!

投稿日:2017年1月26日 更新日:

前回に引き続き現像について書きます。

現像が上手いか下手か、良いか悪いかは置いておいて、こんな感じの現像もあるんだなという目線で見ていただければ幸いです。

また、もちろん今回の現像も他の画像での再現性はありませんが、何かのヒントになればと思います:)

雲海と朝日を現像

今回はこれを現像してみたいと思います。

20a161220-_DSC9907-HDR

美幌峠という場所で撮影した真冬の雲海です。個人的には好きな写真です。大きく印刷すると雲海のもくもくした様子がよく見えて、また朝日の光も清々しく良い雰囲気がでます。

ちなみに、よく見ると空がトーンジャンプしグラデーションが変ですが、これはブログ用に画像を圧縮したためです。元の大きなサイズのJpeg画像ではトーンジャンプしていません。

そして、これの元画像がこれです。

2元画像20161220-_DSC9907-HDR

なかなか明暗差が激しいシチュエーションでした。焦点距離14㎜、F16、ISO100で撮影です。

フィルターは使っていませんがハーフNDを使えば良かったなと今になって思います。もっと撮影時に工夫をしなければなりませんね。撮影技術も恥ずかしいくらいです。

実はこの画像はHDR合成しています。露出±0、-2の2枚をLrでHDR合成。

20161220-_DSC9907

20161220-_DSC9908

露出+2の写真も撮影していましたが使いませんでした。

HDR合成した画像(上)と露出±0の画像(下)を見ると殆ど違いがないように見えます。

2元画像20161220-_DSC9907-HDR

20161220-_DSC9907

しかし、双方を現像してみるとHDR合成した画像の方が綺麗に仕上がるので、ダイナミックレンジはちゃんと広がっているのでしょうね。

今回の現像の方向性としては、明るい空を適切な明るさに調整する(オレンジから青に移り変わる綺麗な空を再現したい)、暗い前景を目立ち過ぎない程度に明るくする遠くに見える雲海を綺麗に見えるようにしたい、と言ったところです。

では、現像してみます:)

HDR合成

まずはLrにてHDR合成します。

2017-01-25 20.38.54

Lrで合成する画像を選択します(shiftボタンを押しながらクリック)。

それで右クリックで「写真を結合」「HDR」ですね。

HDR合成についてはこちらの記事で詳しく書いているのでよろしければ。参考:ブラケット撮影してHDR合成をする。撮影手法の一つとして役に立ちそう!

基本補正

2元画像20161220-_DSC9907-HDR

HDR合成後の画像がこれです。「自動整列」だけして「自動階調」はしていない状態です。

これを基本補正で調整します。

2017-01-26 0.42.09

色温度は+300しています。あと、かすみ除去を+10しました。

それがこれです。

3基本補正20161220-_DSC9907-HDR

明るさをいじり、かすみ除去を+10しただけで、彩度を上げなくても結構鮮やかな感じに。

この先、フィルターをかけて色々いじるので、この辺りはざっくりとするだけです。

トリミング

3基本補正20161220-_DSC9907-HDR

写真は空間の処理が大切で難しい」ということで、ここでも写真のスペースについて考えてみます。

よく見ると空が広いです。もっと朝焼けした雲とかあれば良いかもしれませんが単調な快晴。そして、前景の岩もちょっと広い気がします。

31基本補正20161220-_DSC9907-HDR copy

なので16:9にトリミングすることにしました。16:9は良いですよね。

それでこれです。

4トリミング20161220-_DSC9907-HDR

これでもまだ閑散とした感じがしますが仕方ありません。この辺りは本当に難しいです。

トリミングは色々試してみるのが良いですね。

段階フィルター

次に、段階フィルターを多用します。主に空を暗くする、前景を明るくするという流れです。

例えば、基本補正で全体を明るくする方向に調整しているのに、段階フィルターなどの部分補正では暗くする方向に調整する。つまり、「相反する補正」は避けるべきだと言われています。これは画像を劣化させる可能性があるようですね。加える手は少なくした方が良いです。

とは言っても、私は思いっきりしちゃっていますけど・・・。何度も手を加えているし。前もって具体的にどう現像するか考えていないとなかなか難しいです。

段階フィルター1枚目。

2017-01-25 19.49.42

空に掛けて露光量−0.11。

2枚目。

2017-01-25 19.49.59

空に掛けて露光量−0.53。

なぜ、段階フィルターを2枚に分けて!?という話ですが、そうした方が境界線がうまく馴染むと思ったからです。

そもそもこの写真の場合、霞が強く空と地上の境界はかなり曖昧でした。なので、マスクの境界線をきっちりさせると返って不自然になります(何かうまい方法があるのか・・・)。なので、私は境界をずらして2枚です。この時はこれでそれなりに上手くいきました。

そして、3枚目

2017-01-25 19.49.25

空の上側に掛けてホワイトバランスを下げてハイライトも落とします。上空をもうちょっと青くしたかったので。

次は地上です。

4枚目。

2017-01-25 19.50.19

ハイライトとコントラストを調整。

5枚目。

2017-01-26 0.43.40

前景の岩のみにマスクを掛けてホワイトバランス、明るさを変えます。

なんか適当にマスクを掛けていますがもっと丁寧にした方がいいですね。

では、段階フィルターの結果のbefore、afterです。

明るさを調整することで空の白っぽさがなくなりました。

次です。

円形フィルター

写真を見ると雲海が暗くグレーです。曇り空みたい。

5段階あと20161220-_DSC9907-HDR copy

本当の景色ではもっと朝日に照らされて明るかったし、色も白くてふわふわ軽そうな感じでした。

なので、円形フィルターを使ってこの辺りをどうにかしたいと思います。それから周辺部を暗くしてドラマチックな感じにもしたいです。

円形フィルター、1枚目。

2017-01-25 19.53.25

マスクを反転。空のみ掛けて地上は消します。そして、露光量−0.45。

2枚目。

2017-01-25 19.53.56

これは地上のみ。露光量−0.55にします。

3枚目。

2017-01-25 20.46.34

これ雲海の部分に掛けます。円形フィルターでブラシを使い雲海全体にマスクが掛かるようにします。

主に白レベル、ハイライト、コントラストを上げます。露光量で明るくするだけより、白レベルやハイライトも調整した方が階調感が出て立体的に見えると感じています。ただ、雲海も簡単に白飛びしてしまうのでそこは注意です。ホワイトバランスも微調整。

4枚目。

2017-01-25 19.54.26

朝日の直下のみにマスクを掛け白レベルを少し上げます。

その結果のbefore、afterです。

雲海が明るくなり多少はふわふわ軽い感じになりました。

次です。

補正ブラシ

もう少し雲海をいじります。

2017-01-25 19.58.52

ささっと補正ブラシを施します。これも今回は何となく補正ブラシを使いましたが、上の円形フィルターとかでも良いと思います。

こうして、白レベルを上げます。ヒストグラムを確認しながら白飛びせず、かつ程よく明るくなる値を探ります。今回は白レベル+23しました。

その結果のbefore、afterです。

場合にもよりますが、光の当たり方を考えて雲海の中でも暗い場所、明るい場所を作ると良い感じになると思います。

次で最後です。

スポット修正・仕上げ

小さなゴーストがあるので消します。また、ゴミもとります。

7ブラシあと20161220-_DSC9907-HDR copy

ゴーストの消去はフォコンによっては許されないこともあるので注意ですね。

そして、ヒストグラムと写真全体を見て基本補正の露光量を+0.1上げました。

また、シャープを+40程度にしました。マスクを使って地上のみに効果が及ぶようにします。

2017-01-26 9.01.00

「option(alt)」を押しながらマスクのスラーダーを操作すると良いですね。

 

これで完成です。今回はかすみ除去を+10しただけで、彩度は一度も上げませんでしたが、はっきりとした色になっていると思います。

20a161220-_DSC9907-HDR

では、before、afterです。

Psは使いませんでした。好みに応じてもう少し空を明るくしても良いかなと思います。

この写真で気になるのは太陽の周辺です。オレンジ色で階調のない部分があります。これを直そうと何度か現像をやり直しましたが私には無理でした。

これは撮影した画像自体の問題だったのだと思います。ハーフNDを使っていればもっと綺麗に仕上がったのか!?また、HDR合成も不要になったかもしれません。

それから、改めて「色を極める!」を読むと本当に深いことが書かれているなと思いました。

デジタル写真の色を極める! 「写真の学校」 (「写真の学校」の教科書)

これはすごい本です。

はっきり言って読むのは面倒なんですが、持っていてためになる本です。
参考:現像を極める書籍「デジタル写真の色を極める!」を読んでの感想。読んでよかった!

まとめ

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ということで現像は終了です。

こうやって文章にしてあれこれ考えている私人身にとっても本当に勉強になります:)


  1. 加工批判者ではありません。 より:

    個人的な位置意見として、お受け取りください。
    ここまでいろいろ設定を変更されると、写真ではなく一つのアート作品に変わってしまっている気がします。
    写真は写真、写真をもとにしたアート作品はアート作品として分けるべきというのが個人的な意見です。

    • ワイズカメラ より:

      加工批判者ではありません。さん

      コメントありがとうございます:)

      色々なご意見があるかと思います。
      確かに、私も加工批判者ではありません。さんのように思うこともあります。
      それについては、状況に応じてやっていきたいと思います。

      また、撮影時にフィルターを使うなりしていれば、ここまでの現像は不要だったのかもしれません。撮影においても工夫が必要ですし、まだまだ私の撮影技術が足りません:)

      ブログでは色々なことを書いていきますが、どうぞ今後ともよろしくお願い致します:)

  2. morinokoe より:

    他の方の現像は本当に参考になります。
    自分が今まで試していなかった方法を知ることが出来るので
    新しい発見があり良い勉強になります。

    記事を作るのは大変でしょうが、今後も出来る範囲で続けてもらいたいと思っています。

    カメラは人間の目ほど優秀ではないので、現像に関しては人間の見た目に近付けるという意味で今後も必要な気がします。
    この先もっと性能良いカメラが出て、撮って出しでもそのままいける
    そんな時代が来れば別ですけどね。

    因みに現像に対する考えは人それぞれなので、自分に合った方法で行うのが一番ではないかと個人的に思いました。

    • ワイズカメラ より:

      morinokoeさん

      コメントありがとうございます:)

      自分の現像をオープンにするのも勇気が必要で、ドキドキしながら書いていますが、そう言って頂けて有難い限りです!
      ありがとうございます。また少しずつ書いていきたいと思います:)

      おっしゃる通りでカメラだけでは見たような風景は撮れませんね。将来的にそんなカメラができてほしいです。
      現像ソフトも選択範囲とかワンクリックで精度よくできるようにして欲しいです笑

      とりあえず、現像も学べるだけ学んで、その上でやるかやらないかは後で決めれば良いのだと思います。出来ないからやらないのと、出来るけどやらないのとでは意味合いが違います:)
      また、現像作業を見返してみても「撮影の時にこうしておけば良かったな」みたいな反省点が生まれます。この分、撮影にも新しい視点が持てて役に立ちます:)

      また、頑張っていきたいと思います!今後ともよろしくお願いします:)

  3. Spring より:

    興味深い記事でした!16:9いいですよね!最近よく使います。「広角+16:9」でさらに広がりを感じますね!北海道と違って関東ではなかなかその機会がないのが残念ですが(笑)現像手順参考になりました!「段階フィルターを2回にわけて」というのは目からうろこでした!また現像・レタッチ記事楽しみにしています!

    • ワイズカメラ より:

      Springさん

      コメントありがとうございます:)

      16:9ハマりますよね笑
      最近は真っ先に16:9を考えてしまって困ります:)

      嬉しいお言葉ありがとうございます!
      Springさんの500px写真、作風や現像が好きでフォローさせて頂いております!
      また、書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします:)

  4. キッチョム より:

    こんばんは!
    議論好きではないのですが・・・
    写真とは何か?写真と呼べるものはどのような写真なのか?
    かねてより多くの写真家の間で議論されておりますよね。
    1.報道写真に代表されるように、真実の瞬間を映し出すことで感動を作り出す。修正はしてはいけないという考え方、一方で2.最近のネイチャーフォトグラフィーのように、修正を積極的に利用して自分の感じた印象を画像に織り込んでいくという考え方
    個人的には、どちらが正解というものではないのだと思います。どちらの分野の写真も有りだと思うのです。その写真を見た人が、感動したり、喜んでくれるのであれば、どちらの分野のものであれ素晴らしい写真だといえるのではないでしょうか。
    加工・修正はその範囲も定かではないですし、そもそも加工・修正するしないはそれぞれの人の判断に委ねられており、人を欺くことが目的でなければ、むしろ自分の思いを画像に込めるための有効な方法ではないのかとさえ思います。
    (Lrの現像は、加工・修正というよりはデジタル画像の持っているものを引き出してやる作業に近いとおもっています。)

    私は世間では老人と呼ばれておりますが、ワイズカメラさんや若い人達の画像がとても好きです。いつもよく見る東京カメラ部や500pxの画像にも憧れております。その憧れをエネルギーにLrやPsの勉強に励んでいます。

    これからもワイズカメラさんのブログが長く長く続くことを祈るばかりです。

    • ワイズカメラ より:

      キッチョムさん

      コメントありがとうございます!

      報道写真ではロイター通信が撮って出しのJPEG画像のみを認める方針を打ち出したのが記憶に新しいですね。
      ナショナルジオグラフィックでも加工に対する制限があります。

      私は風景写真は人の目に留まってこそだと思うので、ある程度の加工・修正はあって良いと思います。
      また、現代の一眼レフカメラでは加工・修正なしでは見たままの風景すら切り取れません・・・。
      もちろん、キッチョムさんが仰る通り、「人を欺く」のは不適切だと思います。夕日でもないのに夕日のような空に加工したりはダメです!

      Lrは写真家のために作られた現像ソフトです。個人的には、Lrで出来ることは極端な例を除いて殆ど問題なしだと考えています(極端とは、色相を完全に変えるとか、スポットツールであるものを消すなど)。
      Lrはデジタル画像の可能性を引き出してくれるものなので、積極的に使っていきたいと思います!

      ありがとうございます:)
      これからもどうぞよろしくお願い致します!

  5. Labatt より:

    どうも、こんばんは。最近、こちらは少しご無沙汰でしたがいつも拝見しております。写真も隙あらば撮っております。

    現像に関しては難しい問題ですねぇ。多かれ少なかれ誰もが何かはやってるだけに線引きで悩むんですよねぇ。最近、NHKの紀行もの番組なんかでも「ああ、いじってるなぁ」とか少し疑問に感じながら見てたりします。旅行ツアーのパンフとかの写真で彩度上げまくってるのはどうかと思いますが、結局素人の写真に関しては素人特権と言いますか、好きにしても迷惑にならんだろうという考えです。

    前にも書きましたがやるやらないは別にして、見抜く力は身に着けたほうがいいとは思います。そういう意味ではこのような記事は有意義なのではないのでしょうか。

    • ワイズカメラ より:

      Labattさん

      いつもありがとうございます:)

      ずっと議論されていますがこれには答えが出ませんね。
      フォトコンに応募するのか、ウェブにアップするだけなのか、自分で見るだけなのか・・・、つまり写真を何に使うのか、その点を考慮して現像方法を考えていこうと思います。素人特権も最大限使います!
      パンフとかでそういう写真ありますね、彩度上げた方が印象的で一般の人には受けるのでしょうか・・・!?

      そうですね、知れば写真の見方も変わります。
      もしかしたらその過程で考え方や好みが変わるかもしれませんし:)

      また、今後ともよろしくお願い致します!

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