9・6北海道大地震・大停電の夜に撮った1枚の記録。

9月6日朝、寝起きのぼんやりとした目でスマホを見ると北海道で大地震のニュース速報。そこで深夜に大きな地震があったことを初めて知りました。

ただ、正直な所その時は非常事態に陥った実感はありませんでした。

それは揺れに気づかなかったからという事もありますし、すでに停電していたのでラジオやスマホから断片的な情報しか入手できず、テレビからまとまった視覚的な情報を得られなかったからという事もあるかもしれません。やがてスマホも圏外に。何が起こっているのかよく分からないまま、不便ながらも日常の業務をこなします。

しかしながら、日が暮れるにつれてその異常さが際立ちました。だんだんと暗くなり自分の手さえ見えない闇が街全体を包みます。

北海道全域で停電。日本の国土面積の1/5以上を占める広大な大地から一切の電力が失われました。過去経験したことのない事態です。

3・11の時に感じたような不安感を覚える一方で、自分なりに何か記録を残しておくべきだという気持ちが湧き起こりました。

もし私が小説家なら文字を綴ったでしょうし、画家なら何かを描いていたかもしれませんが、あいにくの私はアマチュアフォトグラファーです。写真を撮るしかありません。

事の重大さを他所に星が輝く。家の窓からも山の上に居るかのような天の川が見えます。

そこで撮影に行くことに。ただし、街灯は一切消え信号も止まっています。遠出するのはあまりに危険なので目と鼻の先にあるサロマ湖で撮影。サロマ湖はこの地域のシンボリックな場所なので記録として残すのにも丁度良い場所だと思いました。

普段この場所は街灯の強烈な光で辺り一面オレンジ色に染まってしまいますし、天の川の方向には街が広がっているので光害で星は綺麗に撮れません。ただ、この日は山の最深部に居るかのような暗さ、低空にも街明かりの影響はありません（木はライティングしています）。

また、電気がないと暗いだけでなく静かになるということも初めて知りました。普段は聞こえなような虫の声、魚が跳ねる音、どこからか茂みを歩く動物の足音まで聞こえて来ます。開拓以前の北海道はこのような夜がずっと広がっていたのかもしれませんね。

私の街では今朝に停電が復旧しました。夜通し復旧作業に取り組んだ方々には本当に頭が下がるばかりです。また、復旧が以前まだの地域もありますが全道での早い復旧を願います。そして、今回の地震で亡くなられた方には深くお悔やみ申し上げます。